◆海外旅行の行き先から見えることは

• 日本の旅行者が良く行くところ（２００４年実績）は、ベスト５で米国・中国・韓国・タイ・香港の順。欧州では、ドイツ（８位）・フランス（９位）・イタリア（10位）となります（ご参考：世界遺産保有数と旅行者数の関係）。
• しかし普段から思う旅行先には、なかなか行けない傾向が見られます。
  • 地域別での旅行先アンケート調査（北米・欧州・アジア・オセアニアの順）と実績（アジア・欧州・北米・オセアニアの順）との差異の存在
  • 国別での旅行先アンケート調査（ベスト５：米国・イタリア・オーストラリア・フランス・ニュージーランドの順）と実績（ベスト５：米国・中国・韓国・タイ・香港の順）との差異の存在
• いざ実行の段階で障害となるのは、旅行代金（ご参考：所得と消費傾向）・旅行期間・休暇の取得等と想像されます。
  • ツアー旅行費用の実績では、欧州・オセアニア：約３３万円、北米：約２５万円、アジア：約１４万円
  • アンケート調査の旅行予算は、１０万円以下約４４％、１５万円〜２５万円約４０％、２５万円以上約１７％
  • この結果、北米・欧州希望者約６１％の、かなりの人が旅行先を変更する必要が発生
  • 旅行者の月別集中度（ご参考：募集型海外企画旅行 月別旅行者数、価格推移）は、最低月（５月）と最高月（８月）の間で約１．４倍、事前の休暇調整の困難さが・・
• 世界の旅行者と日本の旅行者の行き先の順位・分布に大きな違いが・・
  • 日本の旅行者と世界の旅行者の行き先ベスト５の国に含まれる共通な国が１ヶ国（米国（ご参照：ハワイの歴史））、ベスト１０では４ヶ国（米国・中国・ドイツ・イタリア）、ベスト１５では４ヶ国（変わらず）となっています。

◆海外旅行の候補地選びは

○地域別アンケート調査より

• 調査範囲内で、北米・欧州・アジアはそれぞれ２回づつ第１位を獲得、旅行環境の変化もあるので、期間の平均で見ると北米・欧州・アジアの順に（ご参考：最近の旅行業界の外部環境）
• 北米（ハワイ・グアムを含む）は、調査期間内で第３位以下が無いという安定した高順位を堅持、強い人気を誇っています。
• 欧州とアジアは、調査期間中度々第１位と第３位を入れ替える激戦地、平均で見ると第２位と第３位を争う関係で、その構成比もほぼ同率になっています。

	北米	欧州	アジア	オセアニア	中南米	中東	アフリカ	その他
調査１（2001/05）	36.2%	15.1%	38.6%	5.0%	1.2%	2.1%	0.7%	1.1%
調査2（2003/10）	46.3%	15.2%	20.0%	10.8%	4.7%	1.5%	1.5%	-
調査3（2005/03）	34.3%	41.2%	24.5%	-	-	-	-	-
調査4（2006/08）	35.1%	23.8%	15.0%	19.6%	3.6%	1.0%	1.5%	0.4%
調査5（2006/09）	31.4%	15.5%	41.3%	7.6%	0.7%	1.3%	1.3%	1.0%
調査6（2007/01）	23.0%	44.0%	10.4%	15.1%	-	-	-	7.4%
平均	34.4%	25.8%	25.0%	9.7%	1.7%	1.0%	0.8%	1.7%
注）アンケート調査より。北米にハワイ・グアム・サイパン含む。　欧州にロシア含む

 

○国別旅行先アンケート調査より

• 国別行き先調査では、中下位はアンケートによりかなり分散があります。
• 平均の順位で見るとベスト５は、アメリカ・イタリア・オーストラリア・フランス・ニュージーランドの順になります。
• ベスト１０に含まれる欧州の国は、６ヶ国（伊・仏・独・スイス・スペイン（歴史参照）・英）と人気を保持しています。
• 後述する実績との乖離は、こころの願望と旅行環境・実行段階の障壁の存在を示唆しているようです。

第１位	第２位	第３位	第４位	第５位	第６位	第７位	第８位
アメリカ	イタリア	オーストラリア	フランス	ニュージーランド	韓国	ドイツ	スイス
第９位	第10位	第11位	第12位	第13位	第14位	第15位	第16位
スペイン	イギリス	カナダ	中国	エジプト	インド	トルコ	タイ
注）２００４年以降の幾つかのアンケート調査結果で、順位の平均を取って再整理（イメージとしての参考）

 

◆日本人海外旅行客の訪問先（実績値）は

○２００４年の旅行先ベスト４８位は

• 日本人旅行者の良く行く国別海外旅行行き先ベスト５は、アメリカ・中国・韓国・タイ・香港（ご参照）となっています。
• ベスト１０の中に、アジアの国が５ヶ国（上記＋台湾（歴史参照））、欧州の国が３ヶ国（独・仏・伊）入っています。アジアが諸環境（２０００年以来の「安・近・短」旅行の人気）含め大人気となっているようです。
• 国別アンケート調査と比較すると、ベスト５に入る共通な国は１ヶ国（米国）、ベスト１０では６ヶ国（米・伊・オーストラリア・仏・韓国・独）、ベスト１６では、１０ヶ国（左記＋英・カナダ・中国・タイ）となります。
• 行き先の「こころの願望」に対する充足度は約６３％（ベスト１６で比較）と、満足まではいかないとしてもほぼ達成されているようです。

 

第１位	第２位	第３位	第４位	第５位	第６位	第７位	第８位
アメリカ （24.6万円）	中国 （12.9万円）	韓国 （11.2万円）	ハワイ	タイ	香港 （12.5万円）	グアム	台湾 （10.2万円）
第９位	第10位	第11位	第12位	第13位	第14位	第15位	第16位
オーストラリア （28.9万円）	ドイツ （34.4万円）	フランス （33.3万円）	イタリア	シンガポール （13.5万円）	インドネシア	カナダ	フィリピン
第17位	第18位	第19位	第20位	第21位	第22位	第23位	第24位
北マリアナ	イギリス （35.3万円）	スイス	マレーシア	ニューカレドニア	ベトナム	オーストリア	タヒチ
第25位	第26位	第27位	第28位	第29位	第30位	第31位	第32位
ニュージーランド	オランダ	スペイン	チェコ	マカオ	カンボジア	ベルギー	ノルウェー
第33位	第34位	第35位	第36位	第37位	第38位	第39位	第40位
スウェーデン	インド	ギリシャ	ロシア	エジプト	フィンランド	ハンガリー	トルコ
第41位	第42位	第43位	第44位	第45位	第46位	第47位	第48位
ブラジル	モルディブ	ポルトガル	アラブ首長国連邦	ポーランド	デンマーク	アイルランド	ペルー
注）観光白書より。アメリカはハワイ、グアムを含む。２２位以下は年間１７万人以下。データの無い国は２００３年のデータを使用。下段の（　）内は２００４年のツアー旅行の調査実績値

 

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○地域別旅行客数推移（実績値）は

• 地域別の海外旅行の行き先の実績（２００４年）は、アジア約５１％・欧州約２０％・北米約１８％と、前述の地域別アンケート調査結果（北米３４％、欧州２６％、アジア２５％）と大きく異なっています。
• このことは実施段階で、北米・欧州組み（約６０％）よりアジアへ候補地を変えた旅行客が、かなりいることを示しています。
• その理由として、北米・欧州方面の旅行価格帯、旅行期間による休暇取得可能性、休暇可能時期の集中等が影響していると想像されます。
• 旅行費用（ご参考：最近の旅行費用・旅行者数の推移）で見ると実績（アジア約１４万円・欧州／オセアニア約３３万円・北米約２５万円）と希望予算（２０万円以下６７％・２０万円以上３４％）との分布の分散が大きいようです。ちなみに、北米・欧州の旅行者構成比は、約３８％と旅行予算２０万円以上の３４％と近い値になっています（ご参考：年齢帯別収入推移　　　　年齢帯別支出推移　　　　セカンドライフ）。
• 旅行者の月別集中度は、最低月（５月）と最高月（８月）の間で約１．4倍、事前の休暇調整の困難さが・・・（ご参考：募集型海外企画旅行　旅行者月別集中度）。

 

★海外旅行費用は如何程に

	５万円 以下	５〜１０万円	１０万円	１５万円	２０万円	２５万円 以上
構成比	6%	11.5%	25.9%	22.8%	17%	16.8%
注）２００６年５月のアンケート。良好な治安・おいしい食事・美しい景色が重要なキーワードに

 

★地域別の海外旅行費用は（実績）

 

　　　　　　

 

★旅行者の月別推移は

 

☆☆　ひと休み　☆☆

＜ある秋　（東京　昭和記念公園）＞

 

★地域別の危険率比較は

 

	アジア	欧州	北米	オセアニア	中東	アフリカ	中南米
危険率：指数	0.78	1.43	0.97	0.67	2.94	4.01	9.48
注）平均危険率＝１。危険率＝地域別邦人援護件数構成比／地域別観光客構成比

◆日本人海外旅行者の訪問先推移

○実績ベスト１０の推移

• 日本人旅行者の行き先として増加傾向を示す国は、アジアの中国（期間中１１１％の増加）・韓国（期間中４５％の増加）・タイ（期間中２５％の増加）となっています（ご参考：戦後中国　　　　朝鮮戦争　　　　台湾の歴史）。
• 一方、減少傾向を示す国は、米国（期間中３０％の減少）・欧州（地域別の危険率が平均よりやや高い）のイタリア（期間中５２％の減少）・フランス（期間中４０％の減少）・ドイツ（期間中２１％の減少）となっています。特に米国（２００１年の同時多発テロの影響）とイタリア・フランスの凋落は大きいものがあります（ご参考：最近の旅行環境の状況）。

 

○アジア・オセアニア方面、訪問先ベスト７〜１６の推移

• 日本人旅行者の行き先として増加傾向を示す国は、アジアのベトナム（期間中１３４％の増加、旅行者数約２７万人）・カンボジア（期間中５．６倍の増加、旅行者数約１２万人）となっています。インドネシア等は復調傾向に。
• 一方、減少傾向を示す国は、マカオ（期間中５８％の減少　（ご参照））・米国のグアム（期間中１８％の減少）・北マリアナ（期間中１５％の減少）となっています。
• 中国・韓国の台頭が各地に大きく影響しているようです。

 

○欧州方面、訪問先ベスト４位〜１３位の推移

• 日本人旅行者の行き先としての欧州の地位は、全体の基調として低下傾向を示しだしています。特に老舗としての英国（期間中３９％の減少、旅行者数約３５万人）・スイス（期間中４１％の減少）・スペイン（期間中４７％の減少）の復活が期待されます。
• 北欧／中欧のノルウエー（期間中３０％の減少）・ベルギー（期間中２９％の減少）も低調な状況を示しています。
• 中で増加傾向を示す国として、チェコ（期間中２３％の増加、旅行者数約１２万人）・ギリシャ（期間中１１％の増加、旅行者数約９万人）が見られます。

 

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○最近の主要な出来事は

 

年	伸び率	旅　　行　　環　　境
１９９６年	＋９％	アトランタ５輪（８月）
１９９７年	横ばい	タイを中心にアジア通貨危機発生（10月）
１９９８年	−６％	アジア通貨危機、長引く景気低迷を背景に３年来の減少
１９９９年	＋４％	平均旅行日数は８日程度でここ数年変化無し
２０００年	＋９％	・２０００年問題の反動、シドニー５輪（10月）等で旅行者数過去最高に ・ウオンに対する対円高傾向で韓国旅行増加、「安・近・短」旅行が人気に ・高齢世代（６０歳以上）が６年間で３１％の成長を
２００１年	−９％	・景気不振、円安傾向 ・米国同時多発テロ発生（９月）、アフガン空爆開始（10月）
２００２年	＋２％	低価格をキーに女性・熟年層が好調。ソルトレークシティ冬季５輪（２月）
２００３年	−２０％	アジアの新型肺炎SARSの流行、イラク戦争の発生（３月）
２００４年	＋２６％	・反動増、円高傾向、アテネ５輪（９月）、韓流ブーム ・スマトラ島沖地震・津波（12月）
２００５年	＋４％	・円高進行。竹島領有問題・中国各地の反日デモ ・ロンドン・エジプト・バリ島での爆弾テロ発生

◆世界の旅行者の訪問先推移から見えることは

• 世界の旅行者の行き先ベスト１０は、ドイツ・英国・米国・ポーランド・チェコ・マレーシア・イタリア・ロシア・中国・カナダの順となっています。
• 日本の旅行者の行き先順位、行き先の分布とは、かなり異なるようです。
• 日本の旅行者と世界の旅行者の行き先ベスト５の国に含まれる共通な国が１ヶ国（米国）、ベスト１０では４ヶ国（米国・中国・ドイツ・イタリア）、ベスト１５では４ヶ国（変わらず）となっています。
• 日本人旅行者の行き先として減少傾向にある国は、米国・伊・仏・独・マカオ・英・スイス・スペイン・ノルウェー・ベルギーとなっています。イタリア・イギリスは世界の旅行者からみれば、増加傾向にあります。
• 世界の旅行者の行き先として減少傾向が顕著な国は、ポーランド・マレーシア・フランス・日本・メキシコ・台湾となるようです。フランスは、日本の旅行者より見ても減少傾向にあります。
• 世界の旅行者から見て増加傾向が顕著な国は、イタリア・中国・オランダ・ウクライナ・ハンガリー・スウェーデン・トルコ・インド・オーストリア・アイルランドとなるようです。
• 行き先選定と係りをもちそうな世界遺産との関係は、「世界遺産と海外旅行者」をご参照下さい。

○世界の旅行者行き先ベスト１０は

 

○世界の旅行者行き先１１位〜２０位は

 

○世界の旅行者行き先２１位〜３０位は

 

○アジア・オセアニアの世界旅行者ベスト９位は