＜＜　勤労者世帯の生涯収入　＞＞

人生を収入の面より鳥瞰してみました。
　　　（１）一生涯にどの程度の収入を獲得できるのか、
　　　（２）その収入構造はどのように変遷していくのか、
　　　（３）収入はどのような外部環境に影響を受けるのか、
　　　（４）どのようなリスクを考えなければならないのか等々これからの人生設計の参考になればと思います。

◆家計の環境変化　（関連の記事より）

• 家計の資産・負債
  • 家計金融資産は外部環境（景気・株価・金利等）と連動し、増減を繰り返す不安定な状況に
    →（１）過去のピーク：２００５／１２の１５１０兆円
  • 家計金融資産は、「貯蓄から投資へ」の傾向を鮮明に。また、格差拡大の方向に
    →（１）１億円超世帯２％、金融資産シェア１８％を
  • 現預金減少（収入減）・貯蓄率低下（生計充当）等の傾向が継続
  • 富裕者、団塊退職者に向けた金融サービス拡大
    →（１）ラップ口座、（２）資産運用商品拡大
• 家計の収支　（所得環境の変化　　　家計収支の動向）
  • 世帯平均所得は減少傾向を継続（６年連続減少）
  • 賃金抑制、退職金の減少傾向継続。退職金課税強化の方向も
  • 家計の消費支出は減少傾向継続
  • 税制改革、増税路線を鮮明化
    →（１）定率減税廃止、（２）各種控除廃止の方向、（３）消費税見直し・・
  • 財政改革で、社会保障費の家計負担増加
    → （１）医療保健費、　　（２）介護保険費、　　（３）雇用保険費等値上げへ。障害者・高齢者の負担増
  • 年金改革で家計負担増加
    →（１）保険料継続的に値上げ、（２）物価スライドで年金支給額減、（３）老齢年金支給額減・・
• 家計の外部環境
  • 生活保護受給世帯増加、過去最高に（内高齢者世帯４３％に）（ご参考：高齢者の世帯構成　　　退職者の生活）
  • 母子家庭増加、過去最多に
  • 国民健康保険の保険料滞納、過去最多に
  • 個人破産急増

 

☆☆　ひと休み　☆☆

＜春の一景　（東京　小石川後楽園）＞

 

◆勤労者世帯の生涯収入

○生涯の総収入と主要な収入の推移

• 勤労者世帯の生涯収入は、おおよそ３億円
• 世帯主収入は、総収入の約８０％弱程度を構成、残りを社会保障給付（約１０％）・配偶者収入（約７％）で補う家計の収入構造に
• 直近５年間の生涯収入は、約５％程度減少
• 減少の内容は、所得の減少（世帯主収入：３％減少、配偶者収入：約５％減少）、社会保障給付の減少（約９％）。減収幅としては、社会保障給付が大（ご参考：社会保障給付と財政）

 

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◆勤労者世帯の年齢別収入分布

○収入の年齢別の分布とその推移

• 世帯の収入は、４０代・５０代がピークで、両年代で生涯収入の約４４％を占める構造に
• 収入のピークは、５０代前半から４０代後半へと若い世代へのシフトが継続
• 特に５０代から６０代の急激な収入の減少（約３４％程度）に対する事前の対策が必要
• ３０代、５０代及び６０代以降で、収入の時系列的な減少傾向（約４％程度）が見られ、特に７０代以降は、約７％と急激な減少に

 

 

○主要な収入の年齢別の分布状況

• ４０代から７０代に向けて、世帯の収入構造が激変
  • ４０代の収入構造：世帯主収入約８６％、配偶者収入約１０％
  • ７０代の収入構造：世帯主約４９％、社会保障給付約４２％、保険取得金約４％
• ７０代の月間収入（２００６年勤労者世帯の平均）は、約３５万円。個々には偏差・バラツキがあるので、状況に応じた対策と計画が必要
• 社会保障給付は、所得・加入期間及び社会保障政策に依存するので、老後ライフスタイルにあわせた保険等のリスク対策が必要

 

◆勤労者世帯と全世帯との収入の比較

○勤労者世帯と全世帯の収入分布の差異

• 両世帯とも就労期間中（〜５９歳）の収入格差はほとんど無く
• 退職後の収入に格差が発生
  • ６０代：勤労者世帯は、全世帯の収入の約１５％増
  • ７０代以上：勤労者世帯は、全世帯の収入の約２７％増

 

☆☆　ひと休み　☆☆

＜一景　秘湯満喫　（秋田　玉川温泉）＞

 

◆出典

・　総理府統計局：家計調査（全世帯、勤労者世帯）より

・　収入の計算は、年齢別収入分布をもとに期間の収入を累計して便宜的に計算した為、実際の生涯収入とはことなります。

・　世帯属性等基本情報

属性	年	〜29歳	30〜39歳	40〜49歳	50〜59歳	60〜69歳	70歳以上
世帯人員	2002	1.64	2.92	3.47	3.02	2.47	2.01
	2003	1.63	2.93	3.55	2.98	2.40	2.25
	2004	1.59	2.90	3.49	2.93	2.44	2.06
	2005	1.54	2.96	3.50	2.90	2.41	2.01
	2006	1.64	2.89	3.42	2.85	2.44	2.01
世帯主年齢	2002	25.8	34.5	44.6	54.2	63.2	72.6
	2003	25.7	34.5	44.4	54.3	63.2	72.8
	2004	25.6	34.6	44.5	54.4	63.1	73.0
	2005	25.7	34.5	44.5	54.5	63.2	73.4
	2006	25.5	34.6	44.4	54.7	63.4	73.3
注）勤労者世帯の収入、支出関係の世帯属性

・　全世帯と勤労者世帯の収入比較に関する世帯属性は、「生活　世帯の資産形成」の出典をご参照