日本の大規模豪雨災害について、戦後およそ70年間の記録(気象庁)から調べた。大規模豪雨災害とは、犠牲者が100名相当以上の風水害(気象庁)とした。
その災害の全般的な事例紹介は、当サイトの「豪雨災害 その被害」に、地域的な特徴は「その地域特性」に示した。
今回は季節的な特徴を中心に整理して、図示した。豪雨災害の原因となる気象条件から、夏場に多く発生することが良くわかる。
第二次世界大戦後の、およそ70年間の大規模豪雨災害の発生件数は、42件と記録されている。それらを発生月別に整理したのが、図1である。
豪雨災害の発生原因との関連から、雨の多い7月から9月にかけて、大規模豪雨災害が集中する傾向が、高い事が良くわかる。この時期の豪雨には、特に注意が必要となる。
被災から逃れるためには、居住地域の過去の豪雨災害記録の調査、ハザードマップの把握等、災害対策に関わる日頃からの情報収集が、重要かと思われる。
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原因となる気象現象へ >>
我が国の月別降雨量を、平年値(気象庁)で算定し、図3に示した。平年値とは、全国およそ47ヶ所程度の観測所の30年間(1981年〜2010年)の平均値である。
日本の月別降雨量は、各地の単純平均値としたが、降雨量は地域ごとに各々特徴があるため、降雨量最大県、最小県、地理的にその他数県を、図3に含めた。
我が国の降雨量は1年間の中で、概ね6月〜9月にかけて、多くなる事がわかる。大規模豪雨災害の被災原因となる、地域の浸水害、土砂災害が、この時期に集中する原因ともなっている。
季節性の希薄化へ >>
最近の豪雨災害の発生状況について、各種情報(2018年7月以降)をもとに、以下に記載する。
大規模豪雨災害(詳細内容は「その被害」を参照)は、近年減少したが、豪雨災害としては一定数の発生が有り、尚一層の防災・減災対策が必要であると感じる。
参考資料へ >>
大規模豪雨災害の発生原因となる気象条件は、台風、前線、低気圧であり、それらの組み合わせで、被害がより拡大されることが図2−1、図2−2よりわかる。
図2−1の見方ですが、台風が関連した大規模豪雨災害は、台風単体、台風と他の気象条件が関連した場合の合計としている。前線、低気圧の場合も同様の算定としている。
また、図2−2ですが、台風の表記は台風のみ、「台前低」は台風と前線と低気圧が関係した場合の表記です。他の表記も同様です。
両図から、(1)台風による大規模豪雨災害は9月に、(2)前線は7月に、(3)低気圧は7月から8月に集中し、この結果、夏場に大規模豪雨災害が多発する事が良くわかる。
<一景 (群馬 四万温泉)>
降雨量の季節性へ >>
次に大規模豪雨災害の、戦後およそ70年間の時系列的な推移を分析した。月別の発生数推移を図4−1に示した。
戦後初期の段階より減少傾向の中、特に9月は激減して、中期後半で、各月の大規模豪雨災害発生件数がゼロとなった。
しかしながら、最近になって数件の発生が散見される状態となったが、月別の集中は希薄化して、降雨量の多い季節、6月から10月に分散するようになったことが、読み取れる。
また、気象現象による大規模豪雨災害の発生推移を、図4−2に示した。「月別」を「気象現象別」と置き換えれば、前述の月別推移と同様の状況となった。
すなわち台風による被害が激減して、近年は、台風による被害は、前線、低気圧による大規模豪雨災害と同等程度の発生状況になったと言える。前述の月別推移の「9月激減の原因」は、台風による被害の激減であったことがわかる。
我が国の大規模豪雨災害への対応は、(1)戦後の復旧と経済成長に伴うインフラ基盤の整備、(2)気象予報や災害警報の精度向上、(3)災害発生に伴う防災・減災対策の強化等によって、着実に成果を残してきた。
しかしながら、地球温暖化や異常気象の頻発で、大規模豪雨災害は、近年復活の状況ともみて取れ、注意が必要とも感じる。
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○気象庁:災害をもたらした気象事例
:気象台降水量、過去の気象データ
○総務省統計局:日本統計年鑑
○消防庁:消防白書、災害情報一覧