日本には110もの活火山があり、危険度で50の火山が常時監視(24時間)対象である。この内、特に危険な38の火山には、噴火警報レベルが設定(2007年から)済みである。しかしながら、観測体制も、事前警告も十分とは言えず、噴火予知はいまだ研究途上の段階である。
地球は、地殻(30km〜60km)、マントル(〜2900km、岩石)、核(半径約3500km、金属で外核は溶融状態)の三層構造で出来ている。マグマは地下のマントルで形成され、気泡や結晶を含む岩石の溶融体(流体)で、マグマ溜りを経由して地上に移動し、火山噴火の原因となる。
マグマの生成は、マントル対流による減圧溶融や海底プレートの沈み込みによる溶融(水が岩石の融点を低下)等の自然現象で起き、継続性・持続性があることに注意が必要である。
火山噴火は、多様な災害と広範な被害を起こす為、防災マップ、ハザードマップ等の事前対策と警戒警報による事前避難、事前予知が困難な中、発生時の回避行動が重要となる。
○クリュチェフスカヤ山 (ロシア・カムチャッカ半島) |
(1)噴火(2019/8)、噴煙上空5.5km、南方10kmの範囲に到達。4月にも噴火、噴煙3.5kmまで上昇。(2)爆発(2017/8)、噴煙15km(航空機の巡航高度越え)に。噴火(2015/1)、溶岩流流下・噴煙6kmに到達。シベルチ山と共に噴火(2013/10、2010/10)、火山灰10kmまで上昇。 本火山(4750m)は、カムチャッカ半島の最高峰であり、他の5火山等と連山を構成。最古の記録は1697年であるが、2005年の噴火以降活発化。 |
○シナブン山 (インドネシア) |
(1)活発な火山活動が継続(2017年、2018年噴火)する中、噴火(2019/5)、噴煙柱2kmに達し、周辺村落が降灰に覆われるも人的被害なし。 (2)収束しない火山活動(2015年噴火、住民3000人避難)が続く中、激しく噴火(2016/5)、噴煙3kmに達し、火砕流山麓まで流下(約4500m)、住民7名死亡の惨事に。 (3)有史以来初めての水蒸気爆発(2010/8)で活発化、溶岩流・火砕流の断続的発生(2013/9〜)を経て、大噴火(2014/2)、火砕流による犠牲者16名の惨事となった。本火山(2460m)は、北スマトラ州カロ県のブラスタギ近郊にある活火山(世界最大のカルデラ湖トバ湖の北40km)です。 |
○ムラピ山 (インドネシア・ジャワ島) |
(1)噴火(2018/5)、火山灰や噴煙5kmまで上昇。(2)噴火(2010/10)、噴煙上空10km、火砕流で死者322人、避難者総数38万人に。再噴火(11月)で航空会社16社がジャカルタ便48便を休止。本火山は、ジャワ島中央部にあり、最も活動的な火山で、1548年以来68回の噴火を記録。 |
○マヨン山 (フィリピン) |
(1)上空に巨大な雲、マヨン山噴火(2018/1)、危険な噴火回避で4万人超避難。噴火活動継続。 (2)登山中の観光客、噴火(2013/5)の犠牲(噴石で5名)に。警戒レベル引上げ(1万人に避難指示)の2日後噴火(2014/9)、溶岩流出で5万人に避難勧告発令。 (3)突然の大噴火と火砕流で70余名の犠牲者(1993年)が。噴火と台風の同時被災(2006/11)で甚大な被害(死者620名、行方不明710名、倒壊家屋約9000戸)が発生。 本火山(2463m)は、フィリピン共和国のルソン島南部、ビコル地方アルバイ州にある活火山(マヨン山国立公園内)で、17世紀からの400年で50回も噴火、死者1,200人以上という最悪の被害記録(1814/2)も残した。 |
|
○ビチャリカ山 (チリ) |
(1)2017年3月以降、火山性地震の発生(M4近く)等再び火山活動が活発化。小規模噴火(9月)が相次ぐ中、噴火(2017/11)に伴い火山礫と溶岩が噴出、再び大規模噴火の恐れが。 (2)15年ぶりの大規模噴火(2015/3)で、溶岩が噴出・噴煙は上空3kmに達し、住民3400人以上が発令で緊急避難した。本火山(約2800m)は、首都サンティアゴの南方約750kmに位置する南米の活発な活火山のひとつです。 |
○御嶽山 (長野県/岐阜県) |
山頂で7年ぶりの噴火が発生(2017/09)、火災流は約2.5km流下、噴煙は約7km上昇、大きな噴石が約1kmの範囲に飛散した。その後も火山灰を噴出する噴火が継続(10月)した。死者58名、行方不明者5名、負傷者69名の人的被害が発生した。 |
○ウォルフ火山 (南米エクアドル) |
33年ぶりの噴火(2015/5)、溶岩流流下も野生生物(絶滅危惧種のピンクイグアナ等)生息地、居住区地域を避け、影響無し。本火山(1707m)はイサベラ島(ガラパゴス諸島)北部に位置する、本島最大の火山です。 |
○カルブコ山 (チリ) |
43年ぶりの噴火(2015/4)、噴煙は15kmに達し、約4400人(半径約20km圏内)に避難指示がだされ、周辺地域に大量の降灰被害を与え、隣国アルゼンチン西部の町にも火山灰が降下する大規模噴火(54年ぶり)となった。本火山は、アンデス山脈の一部で、周辺一帯はジャンキウェ国立自然保護区内にあり、1837年以来少なくとも10回の噴火記録を残した。 |
○トゥングラウア山 (エクアドル) |
(1)轟音と共に噴火(2014/4)、噴煙上空10kmに。今年2月以来の噴火。(2)7年ぶりの大規模噴火(2006/7)、火山性ガスや溶岩を噴出、12,000名が避難、農地・農作物、家畜にも深刻な被害が発生。本火山(5023m)は、首都キトの南140km、世界遺産のサンガイ国立公園内にある |
○ケルート山 (インドネシア) |
7年ぶりに大噴火(2014/2)、火山灰や火山弾を放出(半径15km)、20万人(10km以内の36村)に避難命令が出された。本火山(1731m)は、ジャワ島東部クディリにあり、1000年以降、30回以上の噴火記録(特に1568年の大噴火では約1万人が犠牲に)を残した。 |
○パルエ山 (インドネシア) |
噴火(2013/8)で噴煙2kmに上昇、火砕流発生(死亡、行方不明各々3名)、島民のほぼ半数の3000人が避難。本火山(パエル火山、別名ロカテンダ火山)は、インドネシア中部東ヌサトゥンガラ州のパルエ島にあり、海面上875m、水面下3000mの成層火山で、85年前の大噴火で、甚大な津波被害を起こした。 |
> 近年の主な火山噴火(2)へ |
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★赤字は常時観測火山
災害を誘発する火山現象として、大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流、溶岩流、小さな噴石・火山灰、火山ガス、2次災害としての土石流や泥流等がある。
避難までの時間的猶予がほとんどない「大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流」は、生命に対する危険性が非常に高い。防災対策上の重要課題であり、噴火警報や避難計画を活用した事前の避難が肝要となる。
(1)大きな噴石(概ね20〜30cm以上)
時間的猶予がほとんどなく、噴火警報等を活用した
事前の入山規制や避難が必要。
(2)火砕流
混合状態(温度は数百℃)の固体物質と火山ガス等が、地表面を時速百km以上で流下、甚大な破壊力を有するので、噴火警報等を活用した事前の避難が必要。
(3)融雪型火山泥流
火山を覆う雪や氷の溶融水と火山噴出物が混合して谷筋や沢沿いの地表を時速数十kmで流下、発生確認前の避難が肝要。
(4)溶岩流
溶融岩石が比較的ゆっくり(地形や溶岩の温度・組成の影響あり)地表を流下、歩行による避難が可能。
(5)小さな噴石(直径数cm程度)・火山灰(2mm未満)
小さな噴石は火口付近では注意(死傷に至る場合も)が必要。共に遠方まで広範に拡散するので、農作物、交通機関(特に航空機)、建造物などへの影響、環境への配慮も必要。
(6)火山ガス(噴気)
地表に噴出する高温のガスで、水、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などを主成分とする。吸引すると、気管支障害(二酸化硫黄)や中毒(硫化水素)等を発生することがある。
(7)火山泥流・土石流
火山噴出物と水が混合して、あるいは、水と土砂が混合して、地表を時速数十kmで流下する現象を呼称(降雨を原因とする場合は土石流)する。噴火後は、
「土砂災害緊急情報」を踏まえ、気象情報(予想雨量の情報)に注意が必要。
現 象 | 猶予時間 | 被害 |
火山ガス | 数分〜数時間 | 小〜大 |
火山灰、噴石 | 数秒〜数時間 | 小〜大 |
火砕流、火災サージ | 数秒 | 甚大 |
溶岩流 | 数時間〜数日 | 甚大 |
土石流・泥流 | 数分〜数時間 | 甚大 |
融雪泥流 | 数分〜数時間 | 甚大 |
岩屑なだれ (山体崩壊) |
数秒 | 甚大 |
津波(山体崩壊) | 数秒〜数時間 | 甚大 |
火山性地震 | 数秒 | 大 |
地盤隆起・沈降 ・地割れ |
数時間〜数週間 | 大 |
空振/雷 | 数秒〜数分/− | 小 |
> 表2 火山災害(2)へ
火山災害の及ぶ範囲で居住する人は、安心で安全な生活を送るために、火山活動による現象を予測し、災害の要因を減らしたり、回避する必要があります。
・現象や災害の予測・予知:噴火や土石流などの災害発生の事前予知、予測に努め、ハザードマップの作成など危険地域事前把握を実施。
・予防的事前対策:被害発生原因の除去、最小化のための導流堤、シェルターなどの施設整備。
・応急対策:災害発生時の避難区域の設定、降灰等緊急的対応の実施
・教育と普及:防災マップ、災害経験の伝承等火山災害への防災意識の普及、啓蒙の実施。
気象庁は2007年12月1日より、噴火警報・噴火予報(噴火警報レベルの導入)を開始した。
> 火山噴火予知へ
◎気象庁
「知識・解説(火山)」 「各種データ・資料 (火山)」 「火山の過去の災害」 「日本活火山総覧(第4版)」
◎消防庁
「平成30年版消防白書(火山災害対策)」
◎内閣府
「防災情報(火山対策)」 「防災白書」
○霧島山 (宮崎県/鹿児島県) |
約300年ぶりに噴火を開始した霧島山(新燃岳)、小規模なマグマ水蒸気爆発(2011/01)後、本格的なマグマ噴火を起こし、大量の火山灰や火山れきが宮崎県や鹿児島県に降下した。溶岩が火口内に充満すると共に、継続的な爆発的噴火が発生、大きな噴石が3.2km範囲に飛散、小さな噴石や空振でガラスが割れる被害が発生した。 |
○エイヤフィヤトラヨークトル (アイスランド) |
比較的小規模な噴火(2010/4)が継続、大量の灰雲が上空9kmに上昇、長期間滞留。ヨーロッパのIFR空域の大部分が6日間閉鎖され、以後も航空運行に重大な混乱が発生した。噴火と流出溶岩による洪水(氷河溶融)を警戒して、住民600名が非難。 氷河に覆われた本火山の噴火は、首都レイキャビクから東方約125kmの人里離れた地点で、1823年以来(アイスランドでの噴火は6年ぶり)。 |
○オクモック山 (アメリカ・アラスカ州) |
11年ぶりの噴火(2008/7)で、噴煙は9.1kmまで上昇。 |
○チャイテン山 (チリ) |
約300年ぶりの大噴火(2008/5)で、噴煙は約30kmの成層圏まで上昇、溶岩流出、火砕流が発生。近隣住民3300人が避難、泥流による建物被害は出たが、人的被害は無し。本火山(1122m)は、首都サンティアゴから南に約1300km離れた、アンデス山脈内にある。 |
○桜島 (鹿児島県) |
58年ぶりの噴火となった桜島、昭和火口の噴火(2006/06)、火砕流を伴う噴火(2008/02)、噴火活動活発化(2009/10)、火口底で初の溶岩確認(2011/05)と活発な火山活動を継続中の要監視火山です。 |
○ニーラゴンゴ山 (コンゴ民主共和国) |
大規模な噴火(2002/1)で、大量の溶岩が麓のゴマ市街地や空港にまで流出(全長約20km)。近隣住民約35万人が避難、150人近くが犠牲に。本火山は、国の東境部(ヴィルンガ国立公園内)にあり、アフリカ大地溝帯底部に並ぶエドワード湖とキブ湖の間にあるビルンガ山地に含まれる。 |
○三宅島 (東京 都内から180km南方) |
ここ約300年間、20年間隔程度で火山活動が発生、山腹での割れ目噴火が主流で、噴火期間も長くて1ヶ月程度であった。 しかし、2000年の噴火では、活発化した地震活動(6月)後に、三宅島西方で海底噴火があり、南部島民は事前緊急火山情報で、北部に避難した。 地震の再活発化と山頂部陥没(7月)後、マグマ水蒸気爆発(噴煙高度約16km)が発生(8月)し、全島が火山灰で覆われ、ジャンボジェット機も大きな被害を受けた。 陥没部も拡大(直径1.7km、深さ約0.5km)し、その後、山頂部火口より大量の火山ガス(二酸化硫黄含む)が継続的に放出され、火砕サージ発生(8/29)を機に全島民(約3,800人)が避難した(帰島は2005/01)。 |
○有珠山 (北海道 洞爺湖南岸) |
1663年より8回の噴火の記録を持つ代表的な活火山で、噴火のたびにマグマ上昇によるドーム状地形を作った。1977〜78年の噴火では、火山灰噴煙が10kmにも達し、軽石や火山灰が周辺に堆積し、泥流発生や有珠新山の隆起など地殻変動があった。 2000年の噴火では、活発化した地震活動後にマグマ水蒸気爆発が起きた(3月)。気象庁による事前の緊急火山情報で、周辺3市町村による1万人あまりの避難が実施された。噴火活動は夏ごろまで続いたが、西山火山域には50を超える火口が発生、マグマ注入で60m以上隆起した。 |
○スフリエールヒルズ火山 (カリブ海モンセラート島) |
モンセラート島(英国領)南部のこの火山で、1995年7月に約300年ぶりとなる水蒸気爆発が起きた。以降、溶岩ドームの成長と崩壊、火砕流の流出、岩屑なだれのカリブ海流入と津波の発生、しばしばの爆発的噴火(噴煙高度約10km)等が現在も継続中(1998年と2003年は活動休止)である。 1997年の火砕流で、10数名の住民が犠牲になり、州都プリマスは噴火の初期に全滅し、住民(12,000名)は島の北部に移動した。2005年末に約5000名が居住しているが、他の島民は本国や近隣の島に移住した。 |
○雲仙普賢岳 (長崎県 島原半島) |
1990年以前では、1663年と1792年に噴火(溶岩流流出)の記録があり、後者では、噴火活動終了後も地震活動が継続、眉山の大崩壊した岩屑なだれが有明海に流入、津波を誘起して肥後、島原半島沿岸で15,000名もの犠牲者を出す、我が国最大の火山災害となった。 1990年から始まった火山活動は、水蒸気爆発(11月)、マグマ水蒸気爆発(1991/02)、溶岩ドーム出現(5月)、火砕サージ発生、仏・米火山研究者、マスコミ等43名が犠牲になった(6月)。 溶岩ドームは拡大を続け、火砕流も広範囲に流下(1993年)、降雨による土石流も頻発し被害が拡大、最大で15,000人が避難生活を送った。成長した溶岩ドーム(1995年2月)で元の山頂より120m高くなった。この事件で、火山防災マップの重要性が認識され、その作成も進んだ。 |
○ピナツボ火山 (フィリピン ルソン島) |
1991年4月より水蒸気爆発が各所で発生、6月に溶岩ドームが形成され、約460年ぶりの大規模噴火(噴煙高度約30km、山頂260m低下)となった。成層圏に広がる噴煙で、周辺では昼でも真っ暗な状態が続き。火砕流が四方に流下した。 堆積した火砕流は数年後も高温を保持、河川水と反応して爆発するなど、大雨時の泥流含め2次災害も誘発した。また、山麓一帯に堆積した火山灰の影響で、米軍のクラーク空軍基地、スーピック海軍基地は廃止された。 噴火による犠牲者は約800人となったが、観測に基づく警報等で効率的な避難が実施され、直接的な被災者は少なかった。犠牲者の多くは、厚く体積した火山灰の重量で崩壊した家屋や土石流の被害者であった。 |
○セントヘレンズ火山 (米国ワシントン州) |
1980年3月より水蒸気爆発が続く中、5月の地震を契機に山体崩壊が発生、直後に火山灰噴煙が高度20kmに届く大規模噴火が起きた。爆風は木々をなぎ倒し(約600km2)、岩屑なだれは約30km流下、死者約80名を出した。 山頂部の高さは400m以上低下、U字型の崩壊カルデラを残した。以降噴火は1986年まで継続、カルデラ中央部に直径約1kmの溶岩ドームが作られた。2004年9月に、溶岩ドーム脇の水蒸気爆発に続き、新たな溶岩ドームの成長が始まった。 |
地球の内部は、地殻(30〜60Kmの厚さ、海底では6Km程度)、マントル(地殻の下から約2900Kmまで)、核(〜6000Km超の中心部まで。半径約3500Km)の3層構造となっている。
核は金属で形成され、内核(半径約1220Km)は個体、外核は溶融状態と考えられる。マントルは岩石で構成され、質量で地球全体の約7割、体積で約8割を占める。ゆっくりとした速度で対流を行い、熱の放出を実施している。海底地殻は海嶺の火山活動によるマグマ(マントル溶融物質)で形成され、大陸地殻は、プレートの沈下・衝突に伴う海底堆積物やマグマの付着によって形成される。
マグマは地下で岩石が溶融してできた流体(900℃〜1250℃)で、結晶や気泡を含む液体である。このマグマが時間の経過と共に地上へ移動して、火山噴火の原因となる。
マグマは高温のマントル物質が上昇中に、上昇による減圧溶融や海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んだある一定の深さ(約90〜130Km)でのマントル溶融(水が岩石の融点を低下)で発生する。
上昇するマグマは、周辺環境状況の変化で(マントルと地殻境界面の密度ギャップ、地殻上昇中の密度均衡(地下10Kmから数Km付近で))、上昇圧力を喪失し、マグマ溜まりを作り滞留する。
滞留中の状態変化(地殻境界面での地殻溶融や地殻中での結晶化、揮発性物質濃縮等)で上昇圧力を再形成したマグマが、再び上昇を続ける。
地表に近づいたマグマは、圧力の低下によって内胞する水や火山ガスが急膨張して、爆発的な火山噴火となる。
▽火山活動のサイクル
(1)マグマ蓄積期
(マグマ溜まりへのマグマの充満)
(2)マグマ上昇期
(マグマ溜まりから火道を通り
上昇する時期)
(3)マグマ放出期(噴火)
(4)マグマ回復期
(マグマの噴火前状態への回帰)
> 日本の活火山へ
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NHKスペシャル 巨大災害 MEGA DISASTER 地球大変動の衝撃 第4集 DVD 2015/3 大気と海、そして地下のプレートやマントルの大循環など、地球に備わるダイナミックな変動メカニズムから、将来起こりうる巨大災害の脅威に迫る。火山研究の最前線を取材し、その脅威の姿を見つめていく。 |
最新 巨大地震と火山噴火をよく知る本! 2020/7 GEOペディア制作委員会(編集) 南海トラフ、都市直下型、富士山大噴火。危機はいつ来ても不思議ではない! 地震や火山の脅威から自分を守るために必携の1冊。 |
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<一景 (健康散歩)>
対象 | 被害状況 |
身体への 影響 |
中毒・ぜんそく・気管支炎(火山ガス、火山灰)、怪我・火傷(噴石)、埋没・流出(土石流・泥流) |
住宅被害 | 焼失(溶岩流、噴石)、破壊(土石流、泥流、噴石、火山灰)、腐食(火山ガス) |
都市機能 | 同上(都市建造物、電気・ガス・水道の供給路、施設)、水源の汚染(火山ガス、火山灰) |
交通機関 | エンジン停止(火山灰)、道路・鉄道網の損傷・変形(近く変動) |
農林水産業 | 汚染・枯死(火山灰、火山ガス、地熱) |
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地震と火山と防災のはなし 2022/3 楠城一嘉(著) 地震や火山噴火などの災害からは目をそらすことはできない日本。そのメカニズムから、それに伴う災害への備え、地域での取り組みなどを解説。 |
たかじんのそこまで言って委員会 超・原発論 DVD 2011/12 安全神話 完全崩壊!? 2011年 未曾有の大震災に見舞われたニッポン。それに追い打ちをかけた“フクシマ”。あの大地震・大津波は想定外だったのか?まき散らされた“放射性物質”が及ぼす影響は?“原発安全神話”に隠された“恐るべき真実”が・・ |
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> 火山災害対策へ
1973年に「火山噴火予知計画」が測地学審議会(当時)から関係各省庁に建議され、火山噴火予知の制度化の検討が始まり、1974年に、大学・関係行政機関の代表者からなる「火山噴火予知連絡会」が設立(気象庁事務局)された。年3回の定例会合と顕著な火山活動発生時の臨時活動を実施、結果を気象庁が公表している。
短期的な(直前)噴火の予知は、過去の活動状況の把握の基で、常に監視し、状態の変化があれば診断・評価をしてデータモデルの蓄積と構築が必要となるが、現時点ではまだ十分とはいえず、噴火予知の技術は、現在もなお発展途上の状態である。
御嶽山噴火(2014年9月)災害の教訓より、法改正で、登山者は「自らの身を守る備えをするよう努めること」とされた(改定活動火山対策特別措置法)。
(1)火山情報の収集
・噴火警戒レベルや火山防災マップ(気象庁のHPより)
(2)登山届け(登山計画書)の提出
(2つの方法)
(1)、日本山岳ガイド協会の「Compass(コンパス)」を利用
→オンラインで登山計画書を作成・提出
(2)、日本山岳協会の提供情報をもとに作成・提出
(3)必要品の装備
・火山防災マップ、携帯電話等の通信機器、予備電源、雨具、タオル、ヘッドライト、ゴーグル(降灰対策)、ヘルメット、非常食、飲料水、登山地図、コンパス等
(4)登山中の注意
・危険な場所(火山ガス滞留のくぼ地等)の回避
・噴火速報(2015年8月運用開始)の取得、火山状況解説情報(気象庁提供)熟知
・異常発見時の下山と関連機関への通報、噴火時は山小屋・岩陰への一時避難等
> 日本の主要火山災害-1へ
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全国共通防災テクニック 災害時に役立つ応急知識 Vol.2 DVD 2018/3 災害時の生活にスポットを当て、身の回りの物を使ってより快適に、そして衛生的に過ごすための簡単お役立ちテクニックを |
噴火した!: 火山の現場で考えたこと 2021/10 荒牧重雄(著) キラウエア、セントへレンズ、伊豆大島、雲仙普賢岳・・。数々の噴火に立ち会ってきた体験が語る火山研究と火山防災。 |
NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 第1〜3部 DVD-BOX 全3巻 2022/5 秋山真之・好古兄弟と正岡子規たちの青春群像を通じ、国の近代化に取組み、日露戦争を戦った「明治」という時代を描く。「少年の国」、「青雲」、「国家鳴動」、「日清開戦」、「留学生」、「日英同盟」、「子規、逝く」、「日露開戦」、「広瀬、死す」、「旅順総攻撃」、「二〇三高地」、「敵艦見ゆ」、「日本海海戦」 |
世界史の考え方 2022/3 小川幸司(著),成田龍一(著) 近現代の日本史・世界史を総合し、近代化、大衆化、グローバル化の歴史像を考える。 |
> 出典へ