豪雨災害  (その被害)
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日本は、梅雨時の発達した前線や夏から秋の台風で、毎年のように激しい豪雨に見舞われ、また、豪雨災害も散発している。

大雨や豪雨による水害は、異常降水量ともなれば、道路冠水や地下街・地下鉄への浸水、また、河川の洪水や氾濫による地域の浸水害、山腹や丘陵地での土砂災害を誘発し、そして、台風の強風は更に高波・高潮を発生させ、沿岸部の浸水害も起こします。

<警戒レベルと気象情報>

表1 災害発生危険度(1)
警戒
レベル
  気  象  情  報
早期注意報→気象情報確認



土砂災害警戒情報→都道府県と気象庁発表
指定河川洪水予報:注2
大雨特別警報→数10年に1度の豪雨
記録的短時間大雨情報→時間100mm程度
記録的な大雨に関する情報

2 大雨・洪水注意報→(1)ハザードマップ等で避難行動確認、(2)地区行政のHP確認
3 大雨・洪水警報
避難準備、高齢者等非難勧告・指示→発令地区の高齢者非難開始
4 大雨・洪水警報
避難勧告、避難指示→発令地区全員避難
5 災害発生
注1:赤字は地区行政が発令。
注2:水位、流量を5段階のレベルで予報
○レベル1:予報無し、水防団待機
○レベル2:氾濫注意情報、避難準備
○レベル3:氾濫警戒情報、自治体の避難勧告検討
○レベル4:氾濫危険情報、自治体の避難指示検討
○レベル5:氾濫発生

 

年間の降雨量は、通常各年頻繁な増減を伴い、年平均値(1981年〜2010年までの30年の年平均値=基準値)との偏差(年平均値と該当年の増減量)も同様に増減する。

この偏差の増減図をながめると、増加グラフが多い分(年換算で増加78年、減少43年)、長期的な傾向として、年間降雨量の平均値(基準値)は今後とも増加していくように思われる。

そうした中、年間降雨量が平均値(基準値)より大きく離れ、異常気象となった場合は、その頻度は低いとしても、多くの犠牲者を伴う甚大な気象災害となるので留意する必要がある

  

 

日本における大規模豪雨災害(上図)は、(1)戦後の復旧と経済成長に伴うインフラ基盤の整備、(2)気象予報や災害警報の精度向上、(3)災害発生に伴う防災・減災対策の強化等によって、時系列として確実に減少して来た。

しかしながら、地球温暖化や異常気象の頻発で、大規模豪雨災害は、近年復活の状況ともみて取れ、注意が必要とも感じる。

 

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◆大規模豪雨災害

昭和の3大台風が、豪雨災害事例の第三位までを独占した。伊勢湾台風は、異常潮位と河川洪水で伊勢湾周辺に大被害を与え、枕崎台風は、戦後混乱期の広島(原爆投下)を含む西日本に甚大な被害をもたらし、室戸台風は、高潮で大阪周辺に壊滅的被害を与えた。

日本に上陸する台風は、およそ年間で平均3個弱程度ですが、過去の大規模豪雨災害事例(犠牲者数上位10件)で、台風を原因とした災害がかなり高い比率となった。時系列的に台風による大規模被害は減少しているが、その被害リスクの高さから注意する必要がある。

 

 <風速とそのイメージ>

平均風速(m/s 10分間の平均)とその感じる状況、想定被害を整理。

○10m/s以上〜15m/s未満(〜50km)

(1)予報用語「やや強い風」 歩きにくい、傘がさせない。樹木全体、電線が揺れる。運転中、横風に流される感覚、吹流しが水平。

(2)建物の樋が揺れる。

○15m/s以上〜20m/s未満(〜70km)

(1)予報用語「強い風」 歩けなくなり、転倒も。高所作業は危険。電線が鳴り、看板やトタン板が外れる。高速運転中、横風で強く流される感覚。

(2)屋根瓦がはがれ、雨戸やシャッターが揺れる。

○20m/s以上〜25m/s未満(〜90km)

(1)予報用語「非常に激しい風」 つかまらないと起立不可。飛来物で負傷の恐れ。細い木の倒木、看板飛散、標識が傾く。通常速度の運転困難。

(2)屋根瓦飛散、非固定のプレハブ小屋転倒、ビニールハウス破損。

○25m/s以上〜30m/s未満(〜110km)

(1)予報用語「非常に激しい風」 つかまらないと起立不可。飛来物で負傷の恐れ。屋外での行動が危険に。細い木の倒木、看板飛散、標識が傾く。通常速度の運転困難。走行中のトラックの横転も。

(2)屋根瓦飛散、非固定のプレハブ小屋転倒、ビニールハウス破損。金属屋根材のめくれ、仮設足場の崩落も

○30m/s以上〜(110km〜)

(1)予報用語「猛烈な風」 屋外での行動は極めて危険。多くの樹木の倒木、電柱や街灯、ブロック壁の倒壊も。走行中のトラックの横転も。車の運転は危険に。

(2)金属屋根材のめくれ、仮設足場の崩落も。外装材が飛散、下地材露出。住居倒壊や鉄筋構造物の変形等の発生も

 

また、災害の被害内容では、豪雨による洪水や河川氾濫、土石流等での当該地域の浸水害被害が大半であった。その中で少数ではあるが、暴風による高潮浸水被害としての、伊勢湾台風・室戸台風や関東大水害(1917/10)、また、タイタニック号沈没に次ぐ海難事故としての洞爺丸台風の少数事例もあった。

表1 主要豪雨災害
災  害 被災地 犠牲者
伊勢湾台風
  台風 1959/9
特に愛知 5,098
枕崎台風
  台風 1945/9
特に広島 3,756
室戸台風
  台風 1934/9
近畿 3,036
カスリーン台風
台風・前線 1947/9
関東、
岩手、宮城
1,930
洞爺丸台風
  台風 1954/9
特に北海道 1,761
関東大水害
  前線 1910/8
特に東京 1,379
関東大水害
  台風 1917/10
関東 1,324
狩野川台風
  台風 1958/9
特に静岡 1,269
南紀豪雨
  前線 1953/7
紀伊半島 1,124
阪神大水害
  前線 1938/7
特に兵庫 1,025


◆近年の豪雨災害

上位3位の災害事例を見ると、(1)長崎豪雨では、前線の活発化による集中豪雨で、長崎市街が洪水・土砂災害で泥流浸水、新興住宅地が壊滅、また、(2)西日本豪雨では、台風7号の湿潤空気流入で活発化した前線が西日本各地に豪雨による洪水、土砂災害、浸水害を多発、そして、(3)東日本台風では、静岡に上陸した台風19号が、東日本を暴風雨圏とし、洪水、土砂災害、高潮が各地で頻発、ライフライン機能の喪失等甚大な被害が発生した。

近年の豪雨災害の特徴は、台風による大規模災害の減少に伴い、発達した前線による集中豪雨災害の割合が過半数と増加したことである。

 

 <雨量とそのイメージ>

1時間雨量(mm)とその感じる状況、想定被害を整理。

○10mm以上〜20mm未満

(1)予報用語「やや強い雨」 ザーザー振り 傘があっても足元が濡れる。一面に水溜り。

(2)長く降り続くと注意(災害発生)が必要

○20mm以上〜30mm未満

(1)予報用語「強い雨」 どしゃ振り 傘をさしても濡れる。一面に水溜り。運転中、ワイパー強でも見づらい。

(2)側構、下水、小川で溢れ、小規模の崖崩れ発生

(3)大雨注意報や大雨警報の発表

○30mm以上〜50mm未満

(1)予報用語「激しい雨」 バケツをひっくり返した様 傘をさしても濡れる。道路が川の様。高速走行時、ハイドロプレーニング現象(ブレーキ効かず)発生。

(2)下水管の溢れ、山崩れ・崖崩れの発生、危険区域で避難準備が必要に

(3)大雨注意報や大雨警報の発表

○50mm以上〜80mm未満

(1)予報用語「非常に激しい雨」 滝の様 傘は役にたたず。一面水しぶき。車の運転は危険。

(2)地下室や地下街に雨水浸入。マンホールより噴出。土石流等関連災害多発の恐れ。

(3)大雨注意報や大雨警報の発表

○80mm以上〜

(1)予報用語「猛烈な雨」 恐怖を誘発

(2)土石流等大規模災害多発の恐れ。厳重な警戒が必要

(3)大雨注意報や大雨警報の発表。記録的短時間大雨情報の発令も

 

被害内容は、豪雨による洪水・河川氾濫や土砂災害等での当該地域の浸水害がほとんどであったが、台風関連で高波・高潮災害の例(台風23号、12号)も少数ですが存在した。

表2 近年の豪雨災害
災  害 被災地 犠牲者
長崎豪雨
前線 1982/7
特に長崎 299人
西日本豪雨
前線・台風 2018/7
特に広島、岡山、愛媛 271人
東日本(19号)台風
台風 2019/10
東北、関東、中部、東海 102人
台風23号
台風・前線
2004/10
特に兵庫、京都、香川 98人
台風12号
台風 2011/8
特に三重、奈良、和歌山 94人
山陰豪雨
前線 1983/7
特に島根 87人
広島豪雨土砂災害
前線 2014/8
広島 77人


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◆豪雨災害事例(3)

事例(1)へ    事例(2)へ

>1966年(昭和41年)
○台風24・26号(9/23〜25)

(1)静岡県御前崎付近に上陸した台風は、富士山麓(山頂の最大瞬間風速91m/s、時間雨量100mm)を直撃、山梨・群馬・宮崎県を通過後、三陸沖に抜けたが、雨が降り続く秋雨前線を刺激し、東海・関東地方が暴風雨圏に。(2)暴風による高波被害(駿河湾沿岸の家屋流出、横浜港の船舶沈没等)、豪雨による洪水土砂災害(静岡県安部川の鉄砲水で梅ヶ島温泉壊滅、山梨県富士山麓で巾200m、長さ1kmの山崩れ発生、足和田村(最大時間雨量82.8mm)や周辺村落流出)等で各地に甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者317名、全半壊家屋10,853棟、床上・床下浸水51,626棟など。

<備考>通常台風は上陸すると勢力が衰えるが、この台風は上陸後山梨県上空で最大勢力となった。暴風圏が比較的小さく、速度も速い台風であったが、最大時間降雨量60〜100mm、24時間降雨量200〜350mmの大雨が、山岳地帯の被害を拡大した。

>1967年(昭和42年)
○7月豪雨(7/8〜9)

(1)本州南岸に停滞中の梅雨前線が、台風7号から変わった熱帯低気圧の暖湿気流や北方の冷乾気流の流入で活発化、翌9日には温帯低気圧が前線上を通過、九州北部(佐世保市1時間降水量125mm)から関東までが集中豪雨となった。(2)期間降水量300mm超の佐世保、呉、神戸などを中心に、浸水害土砂災害(土砂崩れや鉄砲水が多発)などで甚大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者118名、全半壊家屋332棟、床上・床下浸水120,944棟など。

○羽越豪雨(8/26〜29)

(1)新潟県北部や山形県南部などの羽越地方に停滞中の前線に、日本海西部で発生した低気圧が次々と通過、新潟・長野・山形県に集中豪雨が発生。 (2)豪雨による洪水(荒川流域雨量500mm等新潟県内河川約100ヶ所決壊、山間部ダム決壊。山形県南部雨量200mm以上で最上川、鬼面川氾濫)や土砂災害(上流の山間部で)の濁流で、家屋の流出、市街地(新潟県新発田市商店街1m浸水。山形県米沢市中心部広範囲で)の浸水、田畑(新潟県北蒲原郡水田3万haの半分。山形県長井市、小国町、米沢市等)の冠水、道路・鉄道(山形県米坂線橋梁流出、復旧翌年6月)の損傷等多大な被害が発生。

<被害>死者・行方不明者138名、全半壊家屋857棟、床上・床下浸水66,183棟など。

>1968年(昭和43年)
○豪雨・飛騨川バス転落事故(8/18)

(1)台風と停滞中の前線の影響で、不安定であった岐阜県加茂郡一帯(雨量時間40mm)が集中豪雨に (2)数日前からの大雨(岐阜・京都)と当日の豪雨で土砂災害が発生(加茂郡白河町国道41号線)、土砂崩れで停車中のバス2台を15m下の飛騨川に押し流す事故

<被害>死者・行方不明者119名、全半壊家屋143棟、床上・床下浸水15,521棟など。

<備考>バス15台(約730名)の団体旅行で、二転三転する天気予報の中、土砂崩れで道路寸断中の事故。遺族の提訴(道路管理責任)で賠償(4億円強)支払い判決(1974/11)が

>1972年(昭和47年)

○7月豪雨・台風6・7・9号(7/3〜15

(1)日本海上の低気圧からの湿潤な空気供給で、活発に移動する梅雨前線が全国各地(7/3〜6雨量西日本300〜800mm。7/7〜8雨量北日本山岳200〜500mm。7/9〜13九州北部・中国・長野。7/12中部・関東)に集中豪雨を頻発 (2)集中豪雨による洪水(鹿児島県川内川、青森県岩木川や米代川、島根県揖斐川や松江市市外浸水)や土砂災害(高知県土讃線列車押し流し、熊本県天草、宮崎県えびの市、愛知県三河郡、岐阜県東美濃、神奈川県山北町)で、伊勢湾台風依頼の大被害に

<被害>死者・行方不明者447名、全半壊家屋13,181棟、床上・床下浸水331,828棟、崖崩れ11,574ヶ所など。

<備考>政府は災害基本法に基づく「非常災害対策本部」を設置、危険地帯の総点検、防災対策の強化、集団移転対策等実施、「7月豪雨」を激震災害に指定、災害復旧工事に特別な財政援助を決定した。

>1974年(昭和49年)
○豪雨・台風8号(5/29〜8/1

(1)通過する低気圧や台風の影響で、梅雨前線が活発化、全国各地で豪雨が発生した。また、沖縄本島と宮古島間を通過、東シナ海を北上、対馬海峡から日本海に抜け北海道南西部で熱帯低気圧となった台風8号は、南西諸島(久米島最大瞬間風速52m/s)や九州地方を暴風圏に、四国から関東南部(静岡24時間降水量508mm)を豪雨圏とした。(2)この間の断続的な豪雨による浸水害土砂災害(熊本県等)で全国各地で甚大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者146名、全半壊家屋1,788棟、床上・床下浸水395,556棟など。

>1976年(昭和51年)

○台風17号・長良川決壊(9/8〜14

(1)鹿児島県奄美大島付近で停滞後、長崎(雲仙岳瞬間最大風速40m/s)に上陸、山口を通過して日本海に抜けたが、東北・北海道の日本近海上で迷走・停滞した台風は、列島の秋雨前線を長期に刺激して、中部、近畿等の西日本(各地で総雨量1000mm越え)や北海道等の北日本(総雨量200〜300mm)を集中豪雨圏に。(2)集中豪雨による洪水(岐阜県長良川決壊(上流7日間降雨量1091mm)、安八町等泥海浸水、東海道新幹線羽島変電所浸水)や土砂災害(香川県内海町崖崩れで死傷者多数)で、甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者171名、全半壊家屋5,343棟、床上・床下浸水534,495棟など。

>1979年(昭和54年)

○台風20号(10/17〜20)

(1)非常に強い勢力保持しつつ西日本に接近、和歌山県白浜町付近に上陸(19日)後、本州を縦断、東北地方から海上に出て、北海道東部に再上陸し温帯低気圧となったこの台風は、日本全国を暴風域(最大瞬間風速千葉県館山市50m/s、北海道網走市37.4m/s)に。(2)暴風や高波で、家屋損壊、船舶遭難等各地(北海道東部等)で甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者115名、全半壊家屋1,426棟、床上・床下浸水56,099棟など。

>1982年(昭和57年)
○7月(長崎)豪雨と台風第10号(7/23〜25、8/1〜2)

(1)九州北部に停滞中の梅雨前線に、東シナ海の湿潤な空気が流れ込み、山口・長崎(長崎市1日雨量448mm)・熊本・大分各県、紀伊半島南部が集中豪雨に。また、紀伊半島南海上より愛知県渥美半島に上陸(2日)後、富山湾より日本海を北上、温帯低気圧となり東北地方に接近した台風で、四国・中国・近畿・北陸・東海・関東・東北地方が暴風雨に。(2)豪雨による洪水(長崎県浦上川や中島川氾濫、石橋群流出、川沿い市街地泥流浸水他)や土砂災害(崖崩れや土石流が長崎市郊外の高台や傾斜地の新興住宅地直撃他)で各地(九州北部、四国、中国、近畿等)に甚大な被害が発生。台風10号の暴風雨で、近畿・北陸・関東で95名の犠牲者が。

<被害>死者・行方不明者439名、全半壊家屋3,039棟、床上・床下浸水211,840棟、山崩れ・崖崩れ3,551lヶ所など。

<被害>車や電話(通話パンク)、ビル地下室の自家発浸水、高台・傾斜地の住宅開発、火山岩堆積地層の吸水性等豪雨災害への弱さ露呈。7月豪雨災害後、「記録的短時間大雨情報」と「降水短時間予報(1〜2時間先の局地的豪雨予報)」を発令することに。

>1983年(昭和58年)
○7月(山陰)豪雨(7/20〜29)

(1)東海道から瀬戸内海の列島上空に停滞した梅雨前線が、大陸からの寒気の南下と南方からの高温多湿な空気の流入で活発化、山陰地方(3時間雨量で島根県松江市157mm、浜田市148mm)を中心に各地で豪雨となった。また、24日以降前線が北上し長野県北部、北陸・東北地方も豪雨圏に。(2)集中豪雨による洪水(主要河川が氾濫、島根県那賀郡三隅、浜田、益田で市街地浸水、中小河川の氾濫で中国地方の市街地浸水)や土砂災害(三隅や浜田、中国地方5県での傾斜地家屋の埋没)で各地に甚大な被害(電力・電話等のインフラ被害含め)が発生

<被害>死者・行方不明者117名、全半壊家屋3,138棟、床上・床下浸水18,748棟、山崩れ・崖崩2,709ヶ所など。

>2004年(平成16年)
○豪雨・台風等(6/18〜10/21

(1)高知県室戸市付近(室戸岬最大風速43.7m/s)に上陸後、京都府舞鶴市付近より日本海に抜け、津軽海峡の西で温帯低気圧になった台風6号(6/18〜22)で、九州から東海地方(三重県、高知県、徳島県で期間降水量400mm超)が暴風雨となった。(2)日本海から東北南部に伸びる梅雨前線が活発化した「新潟・福島豪雨(7/12〜14)」で、中越(新潟県栃尾市日降水量421mm)・会津(福島県只見町325mm)両地方で記録的な豪雨となった。新潟県で堤防決壊(五十嵐川や刈谷田川)による洪水で、多数の浸水害被害が発生した。(3)北陸地方をゆっくり南下した梅雨前線が活発化、福井(美山町期間降水量285mm)・岐阜両県で集中豪雨(「福井豪雨(7/17〜18)」)となった。福井市や美山町で堤防(足羽川、清滝川)が決壊浸水害被害が多発した。(4)高知県西部に上陸後、山口県より日本海に抜け温帯低気圧となった台風10号(7/29〜8/2)で、近畿南部や四国地方各地(徳島県や奈良県期間降水量1000mm超、高知県700mm超)が豪雨となった。また、徳島県東部に上陸した台風11号(8/4〜5)は、四国・中国地方を縦断後日本海に抜け熱帯低気圧になったが、近畿南部や三重県を中心(期間降水量500mm超)に各地が豪雨となった。(5)九州の西海上から日本海を北東に進み、青森県津軽半島に上陸した台風15号(8/17〜20)は、根室の南東海上で温帯低気圧になったが、四国(期間降水量600mm超)・九州・東北(200mm〜300mm)・北海道(200mm〜300mm)各地が豪雨に、九州から北海道の日本海側が暴風となった。(6)鹿児島県串木野市付近に上陸した台風16号(8/27〜31)は、九州を縦断、中国地方通過、能登沖海上・津軽海峡をへて北海道函館市付近に再上陸し、北海道東部で温帯低気圧となったが、全国各地(西日本の太平洋側で期間降水量500mm超)で暴風雨となった。瀬戸内を中心に高潮被害(高松港、宇野港などで観測開始以来の最高潮位)が顕著となった。(7)沖縄本島北部を通過し長崎市付近に上陸、九州北部横断後山陰沖に抜け、日本海を北東進して北海道西海上で温帯低気圧となった台風18号(9/4〜8)は、沖縄地方から北海道地方にかけて、各地(最大瞬間風速、広島で60.2m/s、札幌で50.2m/sなど)で暴風となった。全国各地で建物の損壊や倒木被害が発生、瀬戸内海沿岸、西日本から北日本にかけての日本海側沿岸などで高潮による船舶被害や浸水害が多発した。(8)鹿児島県串木野市、高知県宿毛市、大阪市付近を通過後、北陸地方を抜け東北地方で温帯低気圧となった台風21号(9/25〜30)は、列島にかかる秋雨前線も刺激し、東北以西、特に四国や近畿(期間降水量400mm超)、東北北部(250mm超)が暴風雨となった。この影響で、各地で家屋損壊や浸水害が発生、そして、三重県宮川村で大規模な土砂災害が、愛媛県内の高速道、国道が土砂災害で寸断の被害等が発生した。(9)伊豆半島に上陸、関東地方を通って、茨城県より鹿島灘へ抜け、東方海上で温帯低気圧となった台風22号(10/7〜9)は、列島の前線も刺激、東海地方から関東南部(期間降水量300〜400mm)にかけて暴風雨(静岡県石廊崎で最大瞬間風速67.6m/s、大島(東京都大島町)で51.5m/s )となった。この影響で、家屋損壊や浸水害土砂災害が静岡県や関東南部で多発した。(10)高知県土佐清水市、室戸市、大阪府南部を通過、近畿地方、東海地方に進み、関東地方で温帯低気圧となった台風3号(10/18〜21)は、列島の前線も刺激し、関東以西(期間降水量が四国地方や大分県で500mm超、近畿北部や東海、甲信地方で300mm超)を暴風雨とした。この影響で、家屋損壊や浸水害(兵庫県円山川、出石川、京都府由良川の氾濫)、土砂災害(岡山県玉野市、京都府宮津市、香川県東かがわ市、愛媛県四国中央市など)、高波被害(高知県室戸市堤防損壊)が各地で発生、犠牲者も兵庫県、京都府、香川県を中心に多数(100名弱)発生した。

<被害>死者・行方不明者236名、全半壊家屋18,140棟、床上・床下浸水177,677棟など。

>2011年(平成23年)
○新潟・福島豪雨、台風6・9・12・15号(7/27〜9/22)

(1)北陸から関東にかかった停滞前線に湿潤な空気が流入、新潟・福島両県(期間降水量600mm超)で記録的な豪雨(7/27〜30)となった。豪雨による洪水(堤防決壊、河川氾濫)や土砂災害で家屋損壊、家屋・農地の浸水害で両県に多大な被害が発生した。(2)高知県東部に上陸後、岡山県南部を通過、山陰沖に抜けて温帯低気圧となった台風12号、低速・大型(西日本の太平洋側で平均風速20m/s超)台風であった為、四国から北海道と広範な範囲(紀伊半島を中心に総降水量1000mm超)で豪雨(8/30〜9/5)となった。暴風雨による洪水土砂災害高潮等で、埼玉、三重、兵庫、奈良(河道閉塞(天然ダム)の発生)、和歌山(同左)、広島、徳島、香川、愛媛等各県で多数の犠牲者、家屋損壊、家屋田畑の浸水害含め多大な被害が発生した。(3)四国・紀伊半島の海上を通過して静岡県浜松市付近に上陸した台風15号は、東海地方・関東地方(東京都江戸川臨界で最大風速が30.5m/s)・東北地方を縦断、福島県より海上に抜けて北海道の南東海上へ進んだが、西日本(九州や四国の一部で期間降水量1000mm超)から北日本にかけて暴風雨(9/15〜22)となった。沖縄から北海道の広い範囲で住家損壊、土砂災害浸水害等が、また、農林漁業被害、停電、交通障害(鉄道・航空・フェリー)の発生した。

<被害>死者・行方不明者126名、全半壊家屋6,220棟、床上・床下浸水39,109棟など。

>2014年(平成26年)

○8月(広島)豪雨(7/30〜8/26)

(1)台風12号の接近で沖縄・奄美が暴風(8/1)に、また、台風11号の上陸(高知県安芸市付近、四国・近畿地方を通過後日本海へ)で沖縄から東海地方が暴風(8/7〜11)となった。そして、両台風が西日本の日本海側から北日本にかけて停滞中の前線を刺激した為、この間、全国各地が豪雨となった。また、本州付近に停滞中の秋雨前線が、前線上を東進する低気圧の影響で、東西日本の各地に局地的豪雨(8/15〜20)をもたらした。(2)8月前半の豪雨災害は四国地方を中心に浸水害被害が発生、8月後半の豪雨災害は、各地の浸水害被害に加え、特に、土砂災害で(土石流107か所、がけ崩れ59か所)、広島市北部の住宅地(8/20)で多数の犠牲者と家屋損壊という甚大な被害を誘発した。

<被害>死者・行方不明者83名、全半壊家屋560棟、床上・床下浸水9,706棟など。

>2018年(平成30年)
○7月豪雨・台風7号(6/28〜7/8)

(1)北日本で停滞中(6/28〜)の梅雨前線が、西日本付近まで南下して停滞(7/5)した。そこへ東シナ海を北上、対馬海峡より日本海に入り温帯低気圧(7/4)となった台風7号(沖縄から西日本で最大風速20m/s)が湿潤で温暖な空気を供給、西日本を中心に全国(期間降水量が四国地方で1800mm、東海地方で1200mm超)で記録的な豪雨となった。(2)豪雨による洪水(河川の氾濫)、浸水害土砂災害等で、全国各地で多数の犠牲者の発生、家屋の損壊、インフラ障害(断水、電話不通、鉄道運休)など甚大な被害となった。

<被害>死者・行方不明者232名、全半壊家屋17,636棟、床上・床下浸水30,480棟など。

>2019年(令和1年)
○東日本台風(19号)(10/10〜13、18〜19、25)

(1)強い勢力で静岡県伊豆半島に上陸した後、関東甲信地方と東北地方を通過した台風19号(10/10〜13)で、東日本と東北地方を中心に広範な地域で記録的暴風雨となった。東日本を中心に17地点で期間降水量500mm超(神奈川県箱根で1000mm)の豪雨に、関東地方の7か所で最大瞬間風速40m/s超の暴風(千葉県市原市で竜巻)となった。また、記録的な高波(静岡県石廊崎で13m、京都府経ヶ岬で9 m超)や高潮三宅島で潮位230cm、静岡や神奈川県で、過去最高潮位超え)も観測された。その後も前線や低気圧の影響で、関東地方から東海地方の太平洋側で局地的豪雨(10/18〜19)となった。また、太平洋沿岸を北上する低気圧に日本の東海上を北上した台風21号周辺の湿潤な気流が流入、関東地方から東北地方の太平洋側を中心に広い範囲で期間降水量100mm超の豪雨(10/25)となった。(2)台風やその後の豪雨で、広範な地域で、河川の氾濫や堤防の決壊(長野県千曲川や福島県阿武隈川をはじめ71河川140箇所 )、土砂災害(962件)や浸水害等が多発、多数の犠牲者や家屋損壊・農地水没、電気・水道・道路・鉄道施設等のライフライン機能の喪失等、航空機や鉄道の運休等の交通障害も含め甚大な被害となった。

<被害>死者・行方不明者101名、全半壊家屋27,886棟、床上・床下浸水37.629棟など。

◆参考資料

○気象庁:災害をもたらした気象事例

○消防庁:消防白書 災害情報一覧

○内閣府:防災情報 災害情報 防災白書

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◆豪雨災害事例(1)

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気象庁が名称を定めた台風の事例、及び、死者・行方不明者数が100名相当以上の風水害の事例を掲載した。

>1910年(明治43年)
○関東大水害(8/10〜11

(1)関東南方海上の停滞梅雨前線に台風の湿った空気が流入、関東(〜600mm)・東北・中部地方が大雨に。 (2)関東地方の荒川・利根川・隅田川等大小河川が決壊、洪水により東京中心部(浅草、小石川等)を含め各地が水没

<被害>死者・行方不明者1,379名、床上・床下浸水518,000棟、堤防決壊7,266か所など。

>1917年(大正6年)
○関東大水害(10/1

(1)静岡県に上陸した台風は、内陸部を進み関東地方(最大風速39.6m/s)を通過、近畿以東が暴風雨に。 (2)各地で河川が氾濫、洪水が市街地に流入、東京湾の高潮は沿岸部(築地3.8m等)から都心部(日本橋等)にも流入、横浜港では船舶3100隻が沈没

<被害>死者・行方不明者1,324名、全半壊家屋36,459棟、床上・床下浸水302,2917棟など。

<備考>高潮対策の重要性喚起、木造家屋の耐風構造検討のきっかけに

>1934年(昭和9年)
○室戸台風(9/20〜22

(1)高知県に上陸した室戸台風は、近畿(最大風速60m/s)、北陸、東北地方を通過、三陸沖に抜けたが、近畿を中心に西日本が暴風雨に。 (2)家屋・校舎の倒壊、列車の転覆等各地で暴風被害や、豪雨による洪水の発生、大阪湾高潮(4m)は臨海部の1/3を水没、甚大な被害に

<被害>死者・行方不明者3,036名、全半壊家屋92,740棟、床上・床下浸水401,157棟など。

<備考>結果を受け、鉄筋校舎の建設促進、NHK放送局の非常用発電装置の整備(1937年)、災害科学研究所設立(1937年)、暴風警報(10m/s以上)を気象情報(暴風発生)と暴風警報(重大被害の発生)に分離

>1938年(昭和13年)・・日中戦争開始翌年
○阪神大水害(7/5〜6

(1)停滞する梅雨前線を熱帯低気圧が刺激、阪神地方(特に兵庫県)が大雨(六甲山植物園で総雨量616mm)に。 (2)各地の河川が氾濫、傾斜地の土砂災害で市街地(神戸市、西宮市等)が水没、家屋・道路・鉄道も埋没

<被害>死者・行方不明者1,025名、全半壊家屋9,123棟、床上・床下浸水501,201棟。

<備考>傾斜地への市街地拡大に警鐘、その後、市街地建築物法改正に。土石流対応の「三面張り」方式の河川改修、六甲山に砂防施設・傾斜地への植林等防災実施

>1945年(昭和20年):太平洋戦争終戦直後
○枕崎台風(9/17〜18

(1)鹿児島県に上陸(最大風速50m/s)した枕崎台風は、九州、中国(日本海に抜け)、東北地方(山形に再上陸)を通過、三陸沖に抜けたが、九州、西日本が暴風雨に。 (2)暴風で、家屋倒壊や塩害、高潮による沿岸部の浸水、豪雨による洪水・土砂災害の発生、戦後食糧不足の中の農産物損害等甚大な被害に

<被害>死者・行方不明者3,756名、全半壊家屋89,839棟、床上・床下浸水273,888棟など。

<備考>原爆投下1ヶ月後の広島県で広島市、呉市を中心に大被害(死者2,012人)が。傾斜地の多い地形と軍港建設の為の乱開発(丘陵地)が災いに

○阿久根台風(10/9〜13)

(1)鹿児島県阿久根市付近に上陸(枕崎で最大瞬間風速51.6m/s)した台風20号は、周防灘、中国(日本海に抜け)、能登半島付近を通過、津軽海峡西海で消滅、前線の影響もあり九州、西日本(期間降水量200〜300mm)が暴風雨に。 (2)暴風で九州・中国地方に家屋倒壊等の被害が、また、豪雨により九州から中部地方にかけて家屋流失・浸水等の浸水害(兵庫県では200人超の死者)が発生。

<被害>死者・行方不明者451名、全半壊家屋6,181棟、床上・床下浸水174,146棟など。

>1947年(昭和22年)
○カスリーン台風(9/14〜15

(1)紀伊半島沖、伊豆半島南方、千葉県房総半島をかすめたカスリーン台風(雨台風)は、日本列島上空の秋雨前線を刺激、関東(秩父611mm、日光472mmの総雨量)、東北地方(総雨量300〜500mm)に記録的豪雨を。 (2)豪雨による主要河川の洪水(利根川、荒川決壊等)で、東京(葛飾区、江戸川区、足立区)、埼玉、茨城の各地が浸水、また群馬、栃木で土石流等の土砂災害も発生、関東平野が泥の海に。同様に主要河川の決壊(北上川等)で東北地方(岩手・宮城)にも甚大な被害が発生。また各地で、鉄道線路の浸水被害の他、両地方の全耕地面積の34〜47%が冠水し、戦後混乱期の中、農産物生産に大きな損害が。

<被害>死者・行方不明者1,930名、全半壊家屋9,298棟、床上・床下浸水384,743棟、堤防決壊4,222など。

<備考>被害拡大阻止の為の江戸川堤防爆破、被災後の食糧供給、伝染病予防等米軍の援助に依存。戦時中の山林伐採(保水力喪失)を反省、治山治水見直しで、緑化運動、洪水調整のダム建設等河川対策開始、政府に資源委員会設置

>1948年(昭和23年)
○九州北部豪雨(9/11〜12)

(1)朝鮮半島南部を通って、日本海に進んだ低気圧の影響で、九州北部(期間降水量佐世保434.4mm、佐賀246.2mm)一帯が豪雨となった。 (2)豪雨による洪水・土砂災害で、長崎・佐賀両県で多くの犠牲者が発生。

<被害>死者・行方不明者247名、全半壊家屋1,263棟、床上・床下浸水2,272棟など。

○アイオン台風(9/15〜17

(1)前年のカスリーン台風と同コースをたどったアイオン台風は、千葉県君津市周辺に上陸(県南端富崎で瞬間最大風速60.1m/s)、その後金華山沖に抜けたが、秋雨前線を刺激、関東地方北部と東北地方東部(宮城県月舘町4時間雨量308mm、岩手県水沢総雨量285.2mm)に激しい集中豪雨を。 (2)風害で建物・電柱・船舶等の倒壊被害(千葉県、進路沿いの東北中部と東側、沿岸部に高潮被害も)や集中豪雨による洪水(北上川支流の決壊等)や土砂災害で、岩手県南部や北上山系で未曾有の被害が発生。鉄道インフラの喪失、冠水による農産物の損害(岩手、秋田、群馬、宮城他)等甚大な被害も。前年の台風被害で、未復旧の地域は壊滅的な状況に。

<被害>死者・行方不明者836名、全半壊家屋18,017棟、床上・床下浸水120,035棟など。

<備考>多目的ダム建設を柱にした国土総合開発計画を提唱(制定(1950年))。後刻、北上川に四十四田ダム(本流)等5つのダムが造成。不通で放置された国鉄山田線は、6年後に全線復旧。

>1949年(昭和24年)
○デラ台風(6/18〜22)

(1)沖縄、奄美大島、屋久島を通過後、鹿児島市付近に上陸した台風は、九州を縦断して対馬海峡に抜けて、朝鮮半島の東で温帯低気圧になったが、梅雨前線が活発な中での来襲で、九州、四国、近畿、東海地方が豪雨(日降水量が200mm以上)となった。(2)豪雨による浸水害は、九州から東北地方までと広範であったが、特に鹿児島県や愛媛県(暴風により、宇和海で多数の漁船遭難、旅客船「青葉丸」の沈没)の被害は多大となった。

<被害>死者・行方不明者468名、全半壊家屋5,415棟、床上・床下浸水57,553棟など。

○ジュディス台風(8/13〜18)

(1)南西諸島の東の海上より、鹿児島県志布志湾付近に上陸した台風は、八代海に出て長崎県西方海上から対馬の西で停滞、その後東進して福井県若狭湾付近で消滅したが、九州各地(200〜400mm、佐賀で期間降水量493.9mm)が暴風雨となった。 (2)豪雨による浸水害で九州各地、特に佐賀県で多大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者179名、全半壊家屋2,535棟、床上・床下浸水101,994棟など。

○キティ台風(8/31〜9/1

(1)八丈島(最大風速33.2m/s)を通過、神奈川県小田原市の西に上陸した台風(横浜で最大風速32.5m/s)は、東京・埼玉・新潟県を通って日本海に抜け、温帯低気圧となったが、東海・関東・北日本の日本海側が暴風雨となった。 (2)暴風による家屋損壊や高潮(関東地方)での浸水や船舶損傷(横浜港他)、豪雨による山岳部等の洪水(小河川の氾濫)や土砂災害(群馬県東村沢入他)で、各地に多大な被害が発生(特に関東地方で)。

<被害>死者・行方不明者160名、全半壊家屋17,203棟、床上・床下浸水144,060棟など。

>1950年(昭和25年)
○ジェーン台風(9/3〜4

(1)室戸岬付近に上陸後、大阪湾、兵庫県を通過、若狭湾より日本海側に抜け、北海道(再上陸)を縦断した台風は、近畿や北陸(30m/s以上)、北海道地方を暴風雨に。 (2)暴風は長い継続時間(7時間)で建物被害も各地で拡大、高潮は大阪湾(2.4m)から瀬戸内海東部まで波及、大阪市の臨海地区が浸水で壊滅状態に、また、豪雨による堤防決壊(神崎川90ヶ所)で西淀川区の各所(中島地区2m浸水1ヶ月以上)が水没

<被害>死者・行方不明者509名、全半壊家屋120,923棟、床上・床下浸水402,076棟など。

<備考>地盤沈下による水害問題を契機に、大阪市は、その後、(1)工業水道事業の推進、(2)地下水の使用制限強化、(3)地盤沈下対策、(4)防潮堤整備等の高潮対策を推進

>1951年(昭和26年)
○豪雨(7/7〜17)

(1)東シナ海に停滞した低気圧が、九州地方を豪雨に、低気圧移動後の寒冷前線が活発化して、西日本を再び豪雨に、その後、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧が発達し、梅雨前線が本州から九州上に停滞、中部地方以西(期間降水量各地で200〜800mm)が豪雨となった。(2)豪雨による浸水害被害は九州から北陸地方に及び、京都(犠牲者180名に)をはじめ九州・中国地方で甚大となった。

<被害>死者・行方不明者306名、全半壊家屋1,357棟、床上・床下浸水103,298棟など。

○ルース台風(10/13〜15

(1)鹿児島県(枕崎最大風速40m/s)西部に上陸した台風(風台風)は、九州を縦断、山口県中部より日本海へ、新潟県(再上陸)・宮城県をへて三陸沖へ抜け、九州や西日本を暴風雨に。(2)暴風による家屋の倒壊や高潮による船舶の沈没、沿岸部(満潮の鹿児島湾等)の浸水被害が続出、豪雨による河川の洪水(山口県期間雨量480mm、錦川等)や土砂災害(山口県那珂群、集落壊滅状態)の被害も

<被害>死者・行方不明者943名、全半壊家屋72,664棟、床上・床下浸水138,273棟など。

<備考>山口県の災害に警察予備隊(自衛隊の前身)初出動(300名)、災害救助と復旧に。災害を契機に、山口県錦川流域に錦川総合開発計画(洪水防止と電力資源開発)が樹立され、ダム建設が促進。ルース台風は、水力発電頼みの日本の電力事情の中、異常渇水状態下での救世主に

>1952年(昭和27年)
○ダイナ台風(6/22〜24)

(1)四国沖を北東進し紀伊半島南部に上陸した台風は、熊野灘に出て静岡県浜名湖付近で再上陸(御前崎最大風速39.1m/s)、東京付近を通過して鹿島灘に出たが、関東以西(九州南部や四国東部、紀伊半島、伊豆半島などで降水量200〜350mm)が暴風雨となった。(2)暴風雨による浸水害被害が、静岡県を中心に関東以西の各地で発生

<被害>死者・行方不明者135名、全半壊家屋162棟、床上・床下浸水39,712棟など。

○豪雨(7/10〜12)

(1)日本の南海上にあった梅雨前線が北上、九州から本州南岸に停滞した為、近畿地方(期間降水量:和歌山406.4mm、大阪178.1mm、神戸172.7mm)を中心に豪雨となった。(2)豪雨による浸水害被害も近畿地方(大阪で89人の犠牲者)で多大な被害となった。

<被害>死者・行方不明者140名、全半壊家屋594棟、床上・床下浸水42,189棟など。

   

 

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◆豪雨災害事例(2)

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>1953年(昭和28年)
○九州北部豪雨(6/23〜30

(1)梅雨前線を低気圧が刺激して、対馬海峡通過時(23日)、西日本、東海から関東地方が豪雨に、また、朝鮮半島付近停滞(25〜28日)時、九州北部(期間降水量:大分718.7mm、各地で600mm前後)が豪雨になった。(2)豪雨による浸水害被害で、熊本県(犠牲者500名越)、福岡、佐賀、大分、山口の各県で甚大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者1,013名、全半壊家屋17,370棟、床上・床下浸水454,643棟など。

○南紀豪雨(7/16〜25

(1)日本海を東に進む低気圧から前線が延び、紀伊半島中部の山岳地帯(未明の数時間で高野山452mm、日高川上流域550mm)に集中豪雨が発生。 (2)集中豪雨による洪水(和歌山県有田川増水10m)や土砂災害(6月上旬からの長雨の影響も)で、各地の市街地が水没、多数の橋梁喪失(交通遮断)で孤立地拡大

<被害>死者・行方不明者1,124名、全半壊家屋9,829棟、床上・床下浸水86,479棟、田畑流出5,929など。

<備考>河川対策に流木処理(橋梁破壊、水位上昇、破堤の原因)が提起、砂防ダムの建設、山の斜面の排水路整備に結実

○豪雨(8/11〜15)

(1)北海道の南東岸から東北地方北部に伸びる低気圧からの寒冷前線が、停滞しながら南下して、東北地方南部から北陸、近畿北部(京都府和束町湯船400mm以上)が、そして、関東地方南部、東海、山陰地方が豪雨となった。(2)豪雨による洪水(京都府大正池堤防決壊)・土砂災害(京都府木津川上流、滋賀県多羅尾村で山崩れ)そして浸水害による甚大な被害が各地(京都300名超の犠牲者)で発生した。

<被害>死者・行方不明者430名、全半壊家屋1,658棟、床上・床下浸水25,116棟など。

○台風13号(9/22〜26

(1)三重県志摩半島を横断、伊勢湾に出てから愛知県知多半島に再上陸した台風は、長野県諏訪市付近、新潟市の東を通って三陸沖に抜けたが、四国から関東地方の広範囲(最大風速20〜30m/s、期間降水量200mm超、京都府舞鶴市507mm)で暴風雨となった。(2)暴風雨による家屋損壊、浸水害等各地(特に愛知、三重、京都、滋賀、大阪、福井の各府県)に甚大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者478名、全半壊家屋26,071棟、床上・床下浸水495,875棟など。

>1954年(昭和29年)
○台風12号(9/10〜14)

(1)鹿児島県枕崎市に上陸後、九州を縦断、山口県下関市付近より日本海に抜けた台風12号で、西日本(20m/s以上)各地が暴風雨となった。(2)九州から北陸地方にかけての暴風(最大瞬間風速30m/s以上)や、九州(宮崎県都城市で期間降水量679.6mm)、四国(愛媛県宇和島市316.7mm)、紀伊半島の豪雨で、九州地方を中心に、家屋損壊や浸水害と甚大な被害となった。

<被害>死者・行方不明者144名、全半壊家屋7,911棟、床上・床下浸水181,796棟など。

○洞爺丸台風(台風15号)(9/24〜27

(1)九州南部(屋久島通過時最大瞬間風速51m/s)に上陸後、九州・中国地方(時速100Kmの高速)を縦断、日本海を北上して北海道南部渡島半島付近(風速30m/s)から北海道西岸を通過、オホーツク海に抜けた台風(風台風)で、九州、中国、北陸、東北(沿岸部最大風速25m/s〜30m/s)から北海道地方が暴風域に。 (2)函館港を出航(1時間前、風雨収まり夕焼け空に)、沖合い1Kmで停泊中の青函連絡船洞爺丸(平均風速40m/s。1,337名中1,139名死亡)や湾内で停泊中の貨物船4隻が暴風により沈没、大惨事に(1912年沈没のタイタニック号に次ぐ被害)。また、木造アパートからの出火で北海道岩内町一帯(風速30m/s。町の80%約3300戸焼失)が大火に。そして国有林に倒木被害(約1438万500u)も。

<被害>死者・行方不明者1,761名、全半壊家屋30,167棟、床上・床下浸水103,533棟など。

<備考>青函海底トンネル建設構想が再浮上。事故から10年後に工事着工、24年後に開通(1964年〜1988年)

>1956年(昭和31年)
○暴風(4/17〜18)

(1)発達した低気圧(日本海を北上、北海道北部を通過)と寒冷前線(日本列島を通過)の影響で、全国的に気温が上昇、乾燥し、関東・東北地方(10〜20m/s)、北海道(20m/s超)で強風となった。(2)関東・東北地方の所々で強風による大火が発生し、北海道では漁船の遭難、降雨と融雪による石狩川の氾濫等の浸水害が発生した。

<被害>死者・行方不明者100名、全半壊家屋12棟、床上・床下浸水2,407棟など。

>1957年(昭和32年)
○諫早豪雨(7/25〜28

(1)九州北部に停滞中の梅雨前線が活発化、長崎県(瑞穂町1日雨量1,109mm、1時間最大雨量144mm)や熊本県に雷を伴う集中豪雨が発生。 (2)長崎県諌早市の集中豪雨による洪水(本明川、3時間289mmの雨量で10分間で2mの割合で水位上昇)や上流の多良岳の土砂災害の濁流で、また、有明海の満潮とも重なり市街が完全に水没(濁流最大3mに)。大雨と増水のピークが2度あり避難遅れも重なり被害が拡大。

<被害>死者・行方不明者722名、全半壊家屋4,366棟、床上・床下浸水72,565棟など。

<備考>水害後、一級河川本明川の改修工事開始と気象庁など関係省庁の集中豪雨発生原因の究明本格化

>1958年(昭和33年)
○狩野川台風(9/26〜28

(1)伊豆半島南端をかすめ神奈川県三浦半島(最大風速50m/s)に上陸した台風は、日本列島南岸に停滞中の秋雨前線を刺激し、静岡県や関東南部に記録的豪雨を降らせ、東京上空、茨城県、宮城県を通過後、北海道まで太平洋沿岸を通り高潮などの災害を。(2)豪雨による河川の洪水(中伊豆地域1日雨量300mm、狩野川10ヶ所決壊、伊豆半島の河川は原形を喪失、道路寸断、167ヶ所の橋梁喪失、農林漁業の損害莫大。東京1日雨量397mm、小中河川や下水氾濫・都内全体で211ku浸水)や土砂災害(湯ヶ島1日雨量748.6mm、修善寺、伊豆長岡等中伊豆温泉郷が大惨事に。東京北区赤羽等高台傾斜地の住宅埋没。横浜や川崎の新造成地で住宅倒壊多数)等各地で甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者1,269名、全半壊家屋4,293棟、床上・床下浸水521,715棟など。

<備考>関東地方は、台風21号(10日前、雨量200mm超)の被害未復旧が更なる被害拡大に。この災害(新興住宅地被害大)を契機に、後刻宅地造成等規制法が施行(1962/2)

>1959年(昭和34年)
○台風7号(8/12〜14)

(1)静岡県の駿河湾から上陸、新潟県上越市付近より日本海に抜けた台風7号で、近畿から関東地方(期間雨量200mm超、山間部600〜800mm)が暴風雨(最大風速:甲府33.9m/s、南伊豆町48.8m/s)となった。(2)台風6号(8/8〜10)や前線の事前の大雨の影響もあり、長野県と山梨県を中心に近畿地方や東海地方で、暴風雨による家屋倒壊、浸水害、果樹落下含む農業損失等甚大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者235名、全半壊家屋14,228棟、床上・床下浸水148,607棟など。

○宮古島台風(9/15〜18)

(1)沖縄(米国統治)の西海上(宮古島直撃(最大瞬間風速64.8m/s))より九州に接近、九州沿岸(東シナ海側)を北上、対馬海峡通過後、日本海を北上して北海道沿岸に抜けた台風(暴風半径300kmの風台風)で、沖縄や九州が暴風圏に。(2)暴風での家屋損壊(沖縄県宮古島ほぼ全戸に被害、長崎県平戸最大風速31.1m/s)、高潮や波浪による船舶損失や沿岸浸水(長崎(有明海干拓事業の被害含め)、熊本、福岡、北海道)、また、強雨による洪水(長崎市1日最大雨量66.9mm、長崎県354ヶ所堤防決壊、道路寸断、農林漁業に大損害)等各地で甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者99名、全半壊家屋16,632棟、床上・床下浸水514,360棟など。

○伊勢湾台風(9/26〜27

(1)紀伊半島の先端潮岬に上陸(25m/s以上の暴風域半径500km)後縦断して、岐阜・富山県を通過、日本海に抜けた台風は、近畿や東海地方(雨量200〜300mm。名古屋最大瞬間風速45.7m/s)を暴風雨圏に(2)暴風による家屋倒壊や、高潮(伊勢湾最高潮位5.81m)と豪雨による河川(伊勢湾に流れ込む木曽川、長良川、揖斐川など)の洪水(名古屋港と周辺臨海部が浸水。海水は内陸部にも進入。貯水場決壊、巨大なラワン材流出・被害拡大。知多半島や三重県桑名市等伊勢湾の低地帯が泥の海に。)、中京工業地帯の工場群の浸水(再開までに3ヶ月)等各地で甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者5098名、全半壊家屋153,890棟、床上・床下浸水363,611棟、田畑流出30,764haなど。

<備考>災害後、中部地方建設局に「海岸堤防建設部」新設、国の直轄事業として復旧着手。また、2年後の1961年に「災害対策基本法(国土及び国民の生命財産を災害から保護を目的)」制定

>1961年(昭和36年)
○梅雨前線豪雨(6/24〜7/5

(1)本州南岸に停滞(6/24〜)した梅雨前線を、北上した熱帯低気圧(6/23〜)や四国に接近した台風6号(6/26〜)等が刺激して四国、近畿(三重県尾鷲市期間降水量1061.9mm)、東海、関東、中部(期間降水量400〜600mm)、北陸の各地が、また、遅れて東北や九州(7/3〜)も豪雨となった。(2)北海道を除く全国で豪雨による浸水害被害が発生、特に、兵庫県、東海地方、中部地方(長野県天竜川氾濫、伊那谷地域で多数の土砂災害、100名超の犠牲者)、神奈川県で多大な被害となった。

<被害>死者・行方不明者357名、全半壊家屋3,666棟、床上・床下浸水414,362棟など。

○第2室戸台風(18号)(9/15〜16

(1)高知県室戸岬(最大風速65m/s)に上陸した台風(風台風)は、阪神地区(最大瞬間風速50.6m/s)を直撃し能登半島より日本海に抜け、東北・北海道地方西岸の日本海を北上、北海道を除く全国を暴風圏に。(2)暴風と満潮の重なりによる高潮(4.1m)、高潮の内陸部侵攻での河川(神崎川、安治川他)堤防決壊で、大阪市を中心に大阪湾沿岸部や西大阪地区のほぼ全域が浸水、また、京都や奈良での文化財破壊、奄美大島や屋久島のサトウキビ全滅等全国の農産物損傷等甚大な被害が。

<被害>死者・行方不明者202名、全半壊家屋61,901棟、床上・床下浸水384,120棟など。

<備考>大阪地区は3度目の台風被害(室戸、ジェーン台風)であったが、過去の高潮対策(防潮堤補強、地盤沈下地域の土盛り等)が奏功、被害を軽微に。また、気象通報体制整備、非難などの適切な防災対策で、人的被害含め全国的にも被害が最小限となった。

○豪雨・台風26号(10/25〜28)

(1)日本の上空にあった前線(6/26〜)に、低気圧(6/26)や日本の東海上を北上する台風26号(6/28〜30)の暖湿気流が流れ込み、九州から関東地方(期間降水量300〜500mm)が豪雨となった。(2)特に九州地方から近畿地方では、豪雨による浸水害や多発した土砂災害(大分県で満員電車が埋没31名の犠牲者が)で多大な被害が発生した。

<被害>死者・行方不明者109名、全半壊家屋678棟、床上・床下浸水60,748棟など。

>1962年(昭和37年)
○豪雨(7/1〜8)

(1)本州南岸にあった前線が北上、西日本に停滞・活発化、その後の低気圧の接近(7/7〜8)で再活性して、関東以西の各地(長崎・佐賀両県24時間降水量が200mm超)は持続的豪雨となった。(2)関東以西、特に九州と東海地方では豪雨による浸水害被害が大きかったが、土砂災害により佐賀県太良町で多数の犠牲者(50名)が発生した。

<被害>死者・行方不明者127名、全半壊家屋548棟、床上・床下浸水108,556棟など。

>1964年(昭和39年)
○山陰北陸豪雨(7/17〜20)

(1)通過する低気圧と日本海中部から秋田沖に進んだ前線の影響で、山陰・北陸の両地方(島根県東部から鳥取県西部、石川県、富山県で日降水量が200mm超)が集中豪雨となった。(2)7月前半からの梅雨前線による大雨の影響もあり、両地方では河川の氾濫による洪水土砂災害が多発した。特に島根県では出雲市を中心に、甚大な被害(土砂災害犠牲者100名超)となった。

<被害>死者・行方不明者132名、全半壊家屋669棟、床上・床下浸水57,976棟など。

○台風23・24・25号(9/10〜18

(1)高知県安芸市付近(室戸岬で最大風速69.8m/s)に上陸(9/10)、近畿地方を縦断後日本海に抜け北上、北海道渡島半島南部に再上陸した台風23号は、四国・近畿・北陸各地を暴風雨圏とした。三重県大王崎付近に上陸後、東日本から北日本を縦断し、北海道知床半島付近で温帯低気圧となった台風24号(9/17〜18)によって、本州南岸の前線も刺激され、四国(期間降水量山岳部で1,000mm超)、近畿(山岳部で1,000mm超)、東海、関東(左記4地方で30〜45m/sの最大瞬間風速)、中部(山岳部で1,000mm超)、東北各地方が暴風雨圏となった。台風25号は、伊豆諸島や本州の東海上を通過(9/16〜17)した。 (2)台風23号の強風で、各地に家屋倒壊や農産物被害、高潮浸水害(兵庫県、岡山県)、豪雨による浸水害(北海道)が発生した。また、直後の台風24号で、各地に豪雨による浸水害土砂災害が多発した。

<被害>死者・行方不明者181名、全半壊家屋5,408棟、床上・床下浸水304,422棟など。

   

 

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◆語句説明(1)

台風    
 (1)海面水温約27度以上の熱帯海域で発生する熱帯低気圧(上昇気流に乗った水蒸気で形成される積乱雲群)の内、風速17.2m/s以上のものを台風と言う。被害の特徴から雨台風や風台風と分別されることも。
 (2)台風のエネルギー源は、海面から蒸発する大量の水蒸気で、水蒸気が雲や雨粒に成る時に放出される熱で勢力を維持する。年間に発生する台風の数は、約28個(発生数:8月>9月)、8月は迷走しやすく、9月は大型が多く、秋雨前線の影響で被害が甚大
高潮災害
 (1)海に面した沿岸地域で、台風来襲時に注意すべき災害の1つに、高潮がある。高潮は台風の接近で気圧が低下、海面を吸い上げる力の上昇と強風による海水の沿岸部への吹き寄せによって、湾の潮位が上昇する現象です。
 (2)台風は進路の東側では、自身の進行速度に、回転する風の速度が加算されるため更に強い風速となり、西側より東側で、より大きな高潮災害が発生するので、注意が必要です。
 (3)現在、気象庁では高潮数値予測モデルを採用して、24時間先までの予測を実施しており、この情報に注意して、安全な避難に心がけることが肝要です。
土砂災害
 (1)発生形態から土石流地すべり崖崩れに分類され、大雨や地震、融雪が原因となるが、ほとんどが台風や前線による豪雨が直接的な誘因になる。
 (2)土砂災害は、突発的で巨大なエネルギーを持つため、大規模な災害となりやすい特徴を持つ。
 (3)南九州の台地や丘陵斜面は、火山性堆積物(シラス:粘性が乏しく、透水性大)が分布しており、集中豪雨による土砂崩れが発生しやすい。また、都市部の市街地の拡大(住宅地の傾斜地や丘陵地へ)も、土砂災害の危険をはらんでいる。
都市化と災害
 (1)都市の拡大と共に自然環境が改変され、災害も増加する事に。1960年代以降の経済成長で、住宅地が近郊に拡大、工場も臨海部に増加し、丘陵地や山林は住宅地や道路になって、土砂災害の危険が高い地帯が急増している。
 (2)治水事業の進展で、河川の洪水は減少しているが、新興開発地域での保水力低下で、局地的集中豪雨による土砂災害が多発するようになった。予報や伝達の改善で死者数は減少となったが、家屋の浸水や損傷は拡大する傾向となったので、集中豪雨には注意が必要となる。
送電線の埋設
 (1)送電線の地下埋設問題は、美観等環境問題のみでなく、防災対策の課題として、現在なお懸案事項として残っている。
 (2)長崎県佐世保市に上陸した「りんご台風(1991/9)」が、高圧送電線鉄塔を倒壊、停電を誘発させた。風速40mの風圧に10分間耐える基準(理論上最大瞬間風速60m/sまで耐える計算)であったが、各地で60m/sの風速を観測した中で、倒壊箇所が出た。ノズル現象(山の斜面を駆け上がる風力の集中現象)の作用と想定されている。
 (3)送電線鉄塔の倒壊は、停電箇所の増加のみならず、普及作業の障害・遅延の原因となる。電気は重要なインフラであり、集合住宅で揚水用のポンプが使えず断水となるなど生活全般に広範囲な影響を及ぼす。前出の台風災害時、長崎市で3万戸が断水になり、長崎県知事が、九州電力に電線の地下埋設化の促進を求めたが、防災対策の課題として残された。
集中豪雨
 (1)一般的に1時間に50mm以上の雨は、豪雨と呼ばれ、傘は役に立たず全身ずぶぬれに、地下街は浸水し、下水がマンホールから溢れ、降り続ければ、丘陵地や山岳地帯では土石流の発生も危惧される。夏の夕立で大変強い雨が20分降っても、1時間換算では30mm程度となり豪雨とは表現しない。
 (2)豪雨は、前線そのものが活発化して降る豪雨(1982年長崎豪雨等)と、台風による豪雨(2000年東海豪雨等)の2種あるが、前者のケースで、特に局所的な地域に長時間豪雨が続く場合を集中豪雨と呼ぶ。
 (3)長崎豪雨の被害を契機に、1時間に100mmを超えるような豪雨があった場合、注意報や警報を補強、更なる警戒喚起で「記録的短時間大雨情報」の発令を開始(1983年)した。
前線の種類
 (1)2種類の前線があり、温暖前線は暖気団が優勢な時の前線で、寒気側に移動し、雨や雪が連続的に降ることが多い。逆に寒冷前線は寒気団が優勢な時の前線で、暖気側に移動し、前線付近では短時間に強い雨が降り、前線が通過すると気温が急激に下がり、突風や雷雨が発生する事もある。
 (2)また、前線には低気圧の発達に伴う閉塞前線(温暖前線と寒冷前線が合体したような状態。低気圧が発達した最盛期の状態)と、移動の遅い停滞前線(寒気と暖気の勢力が同等程度の状態を保持)がある。この停滞前線を、梅雨前線や秋雨前線と呼ぶが、一定期間の停滞を繰り返しながら移動することが多く、集中豪雨などの災害をもたらす。
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