教育投資 (2009/11)
不平等と格差の循環
教育市場において、国公立と私立の教育費の格差が拡大し、私立学校の教育の受け皿としての重要性も増大してゆく中、産業界の優秀な人材要求と、子どもの将来の高所得を求める家庭の希望が、社会を益々高学歴化へと推し進めています。一方、このような状況は、子どもを社会人として世に送り出すまでの教育総投資額を増大させると共に、過剰な競争条理の中、家庭の経済状況が教育の選択に対して、最も基本的な次元で、しかも、学齢の早い時期に、不平等な条件として顕在化してきています。
家計の経済力は、勤労者世帯では、両親の就業による賃金所得に大きく依存しますが、賃金は、分布としてのピラミッド構造と、年齢と共に変化する年齢特性(加齢と共に上昇、その後初期賃金に回帰)を持つために、昨今の家計の所得分布は、全世帯のおよそ6割が、世帯の平均所得以下に分布して、若い世代は低所得にあえぐ状態となっています。また、教育終了後の就業条件となった「学歴・企業規模・雇用形態」等の格差は、賃金の年齢特性に大きな影響を与えるために、就業状況の差異は、そのまま家計の経済格差に直結することになります。
(世帯の年齢別:収入分布 支出分布 収入・負債のピーク)
このように、教育の選択により派生する教育投資額の格差が拡大することにより、家計の経済負担能力を超える教育の選択が不可能となり、教育の選択に制約が発生するという不平等が、子どもの将来の高所得の夢を打ち砕き、子どもに継承されて、次世代へその不平等を循環させるという構図が、定着化していくことが危惧されます。
(世帯の:年齢別資産形成 生涯資産残高推移)
- 教育投資は、その選択の仕方により、非常に大きな格差を創出
- 国公立と私立の学校関係教育費の格差は、およそ2〜3倍(義務教育期間除く)
- 教育における私学の役割が拡大(幼稚園・大学で在学生数比率7割超)
- 高校進学率98%、大学全入時代(進学率およそ90%)の到来と高学歴化の進展
- 幼稚園から中学まで(公立のみ:約420万円、私立のみ:約1370万円。約3.3倍)
- 幼稚園から高校まで(公立のみ:約580万円、私立のみ:約1680万円。約2.9倍)
- 幼稚園から大学まで(公立のみ:約1180万円、私立のみ:約2490万円。約2.1倍)
- 中学までと大学まで(公立のみ:約420万円、私立のみ:約2490万円。約5.9倍)
- 家計の負担能力による不平等(選択の自由の阻害)の発生
- 全世帯のおよそ6割が、平均所得550万円以下に分布
- 賃金の年齢特性(平均賃金上昇率約2倍、初任給の低迷)による若い世代の低所得環境への定着
- 世帯年収600万円未満の学生は、公立学校への在学生比率が高い
- 世帯年収1000万円以上の学生は、私立学校への在学生比率が高い
- 世帯年収600万円以上、1000万円未満の学生は、在学生比率に公立・私立の差が少ない
- 就業状況による所得格差が、次世代に循環
- 学歴(大学卒/中学卒)による格差は、平均賃金で1.5倍、賃金上昇率で1.5倍(2.4倍/1.6倍)、60歳代後半の賃金で2.6倍
- 企業規模(大企業/小企業)による格差は、平均賃金で1.3倍、賃金上昇率で1.4倍(2.4倍/1.7倍)、60歳代後半の賃金で1.2倍
- 雇用形態(正社員、非正社員)による格差は、平均賃金で1.5倍、賃金上昇率で1.5倍(2.1倍/1.4倍)、60歳代後半の賃金で1.5倍
- 勤労者の6割が、月間賃金30万円台以下のピラミッド型賃金構造の定着
- 賃金上位10%目と下位10%目の賃金格差、年齢と共に拡大。20歳代前半で1.6倍、50歳代前半・60歳代後半で3倍に
○出生率の低下
この20数年の間に晩婚化(3年程度)も進み、婚姻件数の伸びも停滞、高い離婚件数(1985年比150%強)と結婚環境としてもはかばかしくない状況となっています。そして、出産環境の高齢化が進み(出産ピーク年齢が20歳代後半→30歳代前半)、出産率・出生数ともに3割程度減少しました。それに伴い、児童を持つ世帯数も、この期間でおよそ3割程度減少して、2008年には、全世帯に占める児童保有世帯数の割合も半減して、およそ全世帯の25%程度となりました。
○乏しい育児環境
世帯の核家族化の伸長、3世代世帯の減少が進み、子育て環境の劣化も進んでいます。子どものある世帯の中での3世代世帯の構成比は、2008年に全世帯平均のおよそ3倍と、その比率はなお高いものがありますが、この20数年の間に6%程度減少して、その構成比は全世帯の2割強と減少し続けています。
就業と子育ての関係では、20歳代以降の女性の無就業の状態は、3割前後で年齢により波を打つ分布となっています。しかし、子どものある世帯(末子が0歳から5歳まで)の母親の就業の状態は、平均で約4割弱が無職、その年齢による分布は、子どもの年齢と負の相関を持ち、無職の割合は7割強(末子0歳)から4割弱(末子5歳)となっており、子どもを持つことによる家庭へのインパクトを明示しています。
また、制度面での子育て環境の整備状況は、保育園・幼稚園の入園率が、期間平均でそれぞれ32%・50%と悲惨な状況となっています。この結果、5歳までの子育て期間中に、全体平均としておよそ4割強の未入園児が発生しています。未入園率の年齢による分布は、子どもの年齢と負の相関関係があり、7割以上の未入園率(0歳〜2歳)から数%程度(5歳)まで変化します。2歳以下の幼児の育児環境の整備が、制度面での大きな課題ともいえます。
○低所得環境の継続
児童のいる世帯の平均所得(2007年690万円)は、全世帯平均のおよそ1.24倍で、子どもを持つとより多くの収入が必要となる状況がわかります。世帯の人員構成のピークは、世帯主年齢40歳代の3.4人となっていますが、世帯所得も20歳代から40歳代までに2.2倍と急増しています。その後、伸び率は鈍化して50歳代でピークを迎えます。この所得の年齢特性が、若い世代の低所得を生み、晩婚化・出産の高齢化につながっています。
また、パート・派遣の拡大で雇用環境の流動化が進み、この8年間で世帯の平均所得は約1割減少して、最下位20%世帯と上位60〜80%世帯の平均所得格差は約4倍、全世帯平均所得550万円以下の世帯はおよそ6割、平均所得800万円以上の世帯が4割と所得格差は進んでいます。若い世代と貯蓄の少ない高齢者世帯が、低所得環境に広く分布する構造となっているようです。
○高学歴化と女性の社会進出
この20数年の間で、就学年齢人口が4割程度減少して、高校以下の在学生数も同程度減少しました。しかし、中学・高校卒業生の高い進学率(98%、75%)を背景に、大学入学率も希望者に対して9割と「大学全入」時代を迎えて、大学在学生数も1.5倍と急増、高学歴化が進んでいます。15歳人口に占める就学率も、男女それぞれ7%と6%となっており、男女間の就学格差も縮小しました。
また、高齢化の進展で、15歳以上人口に占める65歳以上人口は25%(2007年)と拡大しています。この間、15歳以上人口に占める女性の就業率は49%(男性6%減の73%)を継続、就学率も6%と女性の高い社会進出が維持されています。2008年の20歳代から50歳代の女性の無職の割合は、概ね30%台を前後して分布しています。
○学生数の減少
この20数年の間に進展した晩婚化・少子化の影響で、就学年齢人口が大幅に減少(年平均1.5%程度)しました。この結果は、教育施設数と在学生数に波及して、それぞれの需給状況を反映して、高校以下の施設数は若干の減少、在学生数は大幅な減少となりました。しかし、高学歴化の進展で、大学施設数は6割の増加、在学生数は1.5倍と急増しました。
- 出生率の低下(図1-2)
- 婚姻時期は、この20数年の間に、男女とも3年程度高齢化して、男性32.1歳、女性29.8歳と晩婚化に拍車がかかり、その傾向も定着しつつあります。
- また、期間中の婚姻件数も、増加後(8%増)減少に転じ、直近の状況としては微減(1985年比−2%)で推移、そして、離婚件数は急増後微減傾向で推移して、1985年比50%強の増加となっており、結婚環境としては、良好とはいえない状況が続いています。
- 女性の出産環境も高齢化の傾向が顕著になり、若い世代の出生力が急減(20歳代後半)して、出生率のピークとなる年齢も高齢化が進みました。女性の出生率ピーク年齢は、1995年以降、25歳〜29歳から30歳〜34歳に高齢化するとともに、その構成比上のピーク値も半減しました。出産期間の高齢側への拡大が進んでいます(図1-3)。また、出生数も同様の傾向に。
- このような状況の中、出生率・出生数ともに、この20数年の間に、30%弱と大きく低下することになりました。この結果、児童を持つ世帯は、この20数年で、世帯数として30%減少し、2008年の全世帯数に占める割合も、ほぼ半減して25%まで低下しました(図1-4)。
- 乏しい育児環境(図1-5)
- 児童保有世帯の世帯構造の特徴は、全世帯の世帯構造と比較して、3世代世帯の構成比がおよそ3倍弱(21%対8%)と高いことにあります。子育て環境を確保する面での優位性から、3世代世帯の構成比が高くなっているものと想定されます。しかし、期間中の傾向として、核家族世帯は6%増加して世帯構成比で76%に、そして、3世代世帯は6%減少して21%と、世帯全体の傾向としての核家族化は進展しており、育児環境の劣化も進んでいます(図1-4)。
- 期間中の家計支出は、20%程度増加の後に減少に転じて、20数年前比で9%程度の増加(2007年)となっています。この間の教育支出の推移は、40%程度まで増加後減少に転じて、20数年前比で20%弱の増加と同様の傾向となっていますが、結果として教育費負担の変動幅は、常に家計支出の変動幅を上回り、教育費負担の圧力は継続しています(図1-2)。
- 年齢と就業の関係をみると、就学期間と退職時期との関連で、男女とも19歳以下と60歳以上で無職の比率が高くなります。しかし、男性は以降、無就業の状態は数%台に低下しますが、女性に関しては、社会進出が進んだといえども、育児・子育て等の関係で、無就業の状態は、20歳代以降30%程度を中心に起伏をもった推移を示しています(図1-6)。
- 育児環境が母親の就業に与える影響をみますと、末子の子どもの年齢に反比例して無職の状態が改善されます。子どものいる世帯の母親の就業状況は、0歳から5歳の期間平均で38%が無職、また、その期間中は71%(0歳)から38%(5歳)までの幅で、無職の状態が変動します。母親の育児環境が、母親の就業環境に影響を与えることが読み取れます。
- 2008年の調査で、5歳までの育児環境を保育所・幼稚園の平均入園率でみれば、保育所32%・幼稚園50%の入園率となり、5歳になるまでの子育て期間中で、平均42%程度の入園できない幼児が存在することになります。しかし、0歳から2歳までの未入園率は70%以上にものぼり、親の職業「無職」の比率も70%〜50%と高い状況にあります。3歳から5歳の未入園率は、受け皿としての幼稚園が加わり、22%から2%と大幅に改善され、親の無職比率も48%から38%程度と軽減されます。保育所の不足(5歳までの受け皿として約30%程度の収容力レベル)と私営比率50%(保育・教育投資の格差)も乏しい育児環境として、大きな課題となっています。
- 低所得環境の継続
- 児童のいる世帯と全世帯の平均所得を比較すると、児童のいる世帯のほうがおよそ1.24倍(2007年、690万円/560万円)平均所得が高くなっています。また、この8年間の所得推移から、全世帯平均所得は約1割弱の所得減となっていますが、児童のいる世帯は、およそ4%程度の所得減少幅になっています。このことより、育児環境としては、全世帯平均以上の所得が必要とされ、支出圧力の中、その所得を維持するための努力が必要とされます(図1-4)。
- 2008年の世帯の人員構成は、世帯主年齢が20歳代後半で2人を超え、40歳代で3.4人のピークを持つ、おわんがたのグラフとなり、全体の平均世帯人員は2.7人となってます。また、世帯所得の世帯主年齢分布は、40歳代に向け約2.2倍(700万円/320万円(20歳代))と急増後、40歳代と50歳代の伸び率が6%程度と増加幅は減速し、50歳代(730万円)をピークとする飽和曲線をたどり、以降急減いたします。このような所得の年齢分布の性質(年齢特性)が、若い世代の所得不足を現出し、晩婚化・出産時期の高齢化をもたらし、少子化の原因となっています(図1-6)。
- 世帯の所得は、この8年間で確実に減少しており、高齢者世帯で9%、児童のいる世帯で4%、全世帯平均で11%減少しています。そして、所得分布(5分位:全体を20%×5階級に分割)の各分位階級の所得平均値も、各々11%程度減少しています。尚、全世帯の所得分布の状況は、2007年で、中央値448万円、最下位20%の所得平均は、中央値の47%のおよそ210万円、上位80%〜60%の階級の平均所得は、中央値の1.8倍の約814万円とその所得格差は、依然として大きいもの(第4分位/第1分位=814/210=約4倍)があります。大雑把に表現すれば、全世帯の6割が、平均所得550万円から210万円に分布する構造(低所得層の分布が大きい)になっています(図1-7)。
- 高学歴化と女性の社会進出(図1-2)
- 15歳以上人口に占める就業率は、団塊世代の退職、高齢化の進展で、期間中、男性は6%程度減少しましたが、女性はほぼ変化無しと安定化(女性の社会進出の増加)しています。15歳以上人口に占める65歳以上人口は、およそ25%程度(2007年)あり、下記就学率等からみても、男性の73%は当然としても、女性の49%は、それなりに高い就業率となっています。
- この20数年の間に、就学年齢の人口減少(3割〜4割)の影響で、小・中・高校の在学生数が4割前後減少する中、大学の在学生数は1.5倍と急増し、高学歴化が進んでいます。(図1-8)
- また、15歳以上人口に占める就学率は、高齢化進展の影響で期間中の就学率は、男女とも約30%前後減少しました。しかし、就学率は、中学・高校の卒業生の高い進学率(98%、75%)を背景に、15歳以上人口に対して、1985年の男性11%・女性8%から、2007年の男性7%・女性6%と男女間就学格差が確実に縮小され、女性の社会進出が進んできています。
- 学生数の減少(図1-8)
- この20数年で、晩婚化に伴う少子化が進展して、就学年齢人口が減少しました。具体的には、3歳・6歳・18歳の人口は30%程度減少し、また、12歳と15歳人口はおよそ40%と大きく減少しました。
- また、その影響は教育施設数と学生数に波及して、幼稚園・小学校の施設数は微減、中学・高校の施設数は1割程度減少、逆に高学歴化の進展で、大学の施設数は6割程度急増と施設数の需給状況に応じた様々な変化を起こしました。また同様に、学生数全体としては大幅に減少する中、個々の状況に応じた変化もみられました。幼稚園では在学学生数が20%程度減少、小学校から高等学校までの在学学生数は、40%前後と大幅な減少となりましたが、大学在学生数は、高学歴化の進展で50%と急増しました。
○教育投資負担拡大
幼稚園から大学卒業までの教育投資総額(2006年度時点の単純集計)は、平均的に1200万円から2500万円の範囲で負担額が変化します。およそ2倍程度の幅がありますが、すべて国公立の場合とすべて私立の場合の差で、教育コース選択が原因となり発生する格差となります。私学選択が、家計負担を増加させる現実があります。
大学生の生活環境は、家庭からの給付金と奨学金に依存(約8割強)しており、不足分はバイト等で補填しています。昨今の家計所得の減収傾向 と 所得格差拡大の影響を受けて、家庭からの給付金は減少傾向にあり、奨学金の受給拡大(この10年で約2.5倍と急増)と支出総額の抑制で、厳しい就学生活を送っています。
この16年間の教育費総額の推移は、大学を除く公立・私立学校では、多くても1割程度と抑制基調となっています。大学では、学費と生活費を含む教育費総額は、15%程度上昇していますが、学費関係がその間3割〜4割急増していますので、生活費を切り詰める中での、厳しい就学生活を余儀なくされています。
学生数が減少する中、この20数年で、私立在学生の割合が全体の18%から26%と増加しています。義務教育の両端の幼稚園と大学では、その構成比が既に7割を超え、高等学校でも3割に達しています。また、私立大学はこの間、大学数を1.8倍、学生数を1.6倍と急拡大させました。行政の地方教育費が低減する中、教育費の高い私学の役割が急拡大してきています。
この20数年の進学率の推移は、高校進学率は98%と高位定着、高校卒業生の大学進学率は約40%増の75%に拡大、大学院等の進学率は倍増して12%となっています。大学入学希望者の9割以上が入学する「大学全入」時代に入り、教育における高学歴化は着実に進む中で、家計の負担も増加していきます。
○就学格差の顕在化
教育費用と世帯年収の関係において、公立学校(大学除く)では、一定の教育費用を超えると、高世帯年収の在学生構成比が減少する傾向があります。一方、私立学校(大学除く)では、教育費用の増加と共に、高世帯年収の在学生構成比が直線的に増加していきます。この結果は、世帯年収によって教育投資の選択が行われ、年収の低い世帯は公立学校を、高い世帯は私立学校を選択するという構図(制約)ができあがっています。
世帯の年収でみると、600万円未満の世帯では、公立学校の在学生構成比が高く、1000万円以上の世帯では、私立学校の在学生構成比が高くなっています。600万円以上から1000万円未満の世帯では、公立学校と私立学校の在学生構成比に大きな差は無く、公立・私立の選択に、制約の少ない世帯層となっています。
大学においては、国公立・私立ともに、ある世帯年収で在学生構成比がピークを持つ分布となっています。そのピークとなる世帯年収は、国公立大学では、600万円から800万円、私立大学では、800万円から1000万円と、私立大学の分布のピークが、やや年収の高い世帯側にシフトしています。また、その分布の偏りから、私立大学の方が、高世帯年収の在学生構成比の割合が高くなっていることがわかります。
教育費総額における公立と私立の格差は、概ね2倍程度ですが、大学では約1.5倍、小学校ではおよそ4倍程度となっています。教育費を、学校関係教育費と学校外活動費(大学の場合生活費)に分類して、国公立と私立の格差をみると、義務教育期間(10倍前後の格差)を除き、学校関係教育費の格差は、およそ2〜3倍程度となっています。学校関係教育費における国公立と私立の格差は、授業料と学校納付金(大学では学費)が主要な原因となっています。
○教育経営環境の悪化
行政の地方教育費の中の学校関係費は、この20数年の推移として、急増後にピークを打って減少に転じて、2006年度は、1991年度の水準をやや下回る状態となっています。小学校への投資額は約6.3兆円で、中学・高校はその半分程度となっています。この間の少子化の進展で学生数が減少し、その結果、在学生当たりの学校関係費は、微減の幼稚園を除き横ばい微増を維持しています。2006年度は、幼稚園年間70万円、小学校年間89万円、中学校年間103万円、高校年間116万円となっています。しかしながら、在学生当たりの学校関係費に関して、地域の財政事情・教育政策等の違いにより、上位5地区と下位5地区の間では、およそ1.5倍程度の格差も発生しています。
また、地方教育費の中の生涯教育費関係投資(公民館・図書館・博物館・体育施設等)も、ピーク後の減少幅は大きいながら、投資額の変化については、学校関係費とほぼ同様の傾向となりました。2006年度の投資額は、体育施設5千億円を筆頭に、図書館・公民館の3千億円台、博物館2千億円等々の配分となっています。尚、地方教育費の総額に占める人件費の割合は約64%と突出しており、この20年で構成比として4%増加しました。また、人件費の内の6割強が教員給与となっています。
2006年度の地方教育費約17兆円の財源は、都道府県約53%、市町村約32%、国庫補助約11%となっています。この20年間の推移は、1996年代にピークを打って減少に転じ、国庫補助が約4割強と急減する中、総額としては、ピーク時より1割強の減少となっています。また、義務教育費の負担は、都道府県が約5割、市町村が約3割、国が約2割と分担、高校は都道府県が、幼稚園は市町村が、その費用の約9割程度を負担しています。
学校の教員数は、この20数年で、学校別の需要状況によって、減少と増加の2極化の傾向を強めています。大学と幼稚園を除く学校では1割程度減少しましたが、大学では学生数の増加に伴い1.5倍と急増、幼稚園では園児の減少(2割程度)にもかかわらず、1割程度増加しました。また、教員の給与は、地方教育費(公立の高校以下の学校が対象)でみると、教員数の減少(1割程度)にもかかわらず、この20数年間で、およそ3割強も増加(5.3兆円→6.7兆円)しました。
- 家計の教育投資負担拡大
- 幼稚園から大学卒業までの家計の累計教育投資額は、1200万円から2500万円と、コース選択により大きな幅が発生します。すべて国公立とすべて私立とでは、平均でおよそ2倍程度(金額差約1300万円)の格差となります。私立選択による家計負担への影響を窺い知ることができます(図2-8)。
- 大学生の生活面での収入構造は、家庭からの給付と奨学金でかなりの部分を賄い、残りをアルバイト等で補填する構造になっています。学部と修士課程では、家庭からの給付と奨学金で8割程度を賄い、残り2割程度をバイトで補填しています。博士課程では、前者でおよそ5割程度と、アルバイト等の就業を前提とした構造になっています(図2-12)。
- 収入に占める家庭からの給付比率は、学部から博士課程と年齢が増加するにつれ減少(68%→18%)、逆に、奨学金の比率は、補填の機能が働き増加(14%→34%)しています。また、この10年間で、家庭からの給付は減少傾向を示し、奨学金は、学部(2.5倍)・修士課程(1.5倍)で急増しています(図2-12)。
- 時系列的な家計の所得減収の傾向と、家計の所得格差の拡大が続いており、厳しい教育投資環境となっています。世帯の所得は、この8年間で確実に減少しており、高齢者世帯で9%、児童のいる世帯で4%、全世帯平均で11%の減少となっています。また、所得分布(5分位)の各分位階級の所得平均値も、各々11%程度減少しています。全世帯の所得分布の状況は、2007年で、中央値448万円、最下位20%の所得平均は、中央値の47%のおよそ210万円、上位80%から60%の階級(第4分位)の平均所得は、中央値の1.8倍の約814万円とその所得格差は、依然として大きいもの(第4分位/第1分位=814/210=約4倍)があります(図1-7)。
- 就学の制約条件の顕在化
- 幼稚園と高校以下の公立学校では、学生数の分布が、教育費用の増加に対しある世帯年収で、学生数のピークを持つ分布曲線となり、ピークを超えると、高年収世帯の生徒数が減少していく構造をもっています。しかし、私立学校(幼稚園除く)では、教育費用と各世帯年収の学生数は正の直線関係を示し、教育費の増加に対し、高年収世帯の学生数も増加します。年収の高い世帯は私立を、年収の低い世帯は、公立を選択するという構造(制約)がみられます(図2-10)。
- 世帯年収が600万円未満の世帯は、教育費と学生数の構成比の間に負の直線関係があり、結果として公立学校在学生が多い分布に、逆に、世帯年収が1000万円以上の世帯は、正の直線関係を持ち、私立学校在学生が多い分布となります。また、世帯年収が600万円以上〜1000万円未満の世帯は、その分布は傾きのない直線的な関係となり、教育費の増減に対する学生数の構成比に、公立と私立の変化が少なく、公立・私立の選択に制約が少ない層となっています(図2-11)。
- 大学在学生の世帯年収と学生数の構成比の関係では、ある世帯年収で学生数構成比のピークを持つ分布構造となっています。国公立大学では、世帯年収600万円〜800万円でピークを持ち、私立大学では、800万円〜1000万円にピークがあります(図2-13)。
- 教育費の増加と私学学費格差
- 教育費の推移をこの10数年間でみると、大学を除き公立・私立ともその総額の増加幅は、多くても1割程度と抑制傾向で推移しています。大学では、生活費を含むその教育費総額としては、この8年間では数%程度の減少で推移しています(図2-3)。
- 大学の教育費総額(学費+生活費)を、この16年間のスパンでみてみますと、15%程度の増加となっています。しかし、学費は3〜4割と急増していますので、生活費を切り詰めた学生生活を、余儀なくされている状況がみえてきます。就学環境の改善が必要となっています(図2-9)。
- 大学と小学校を除き、公立と私立の教育費総額の格差は概ね2倍程度となっています。また、大学ではやや少なく1.5倍に、小学校では4倍程度と非常に大きな格差となっています(図2-3)。この結果、私学を選択することによる教育費負担は急増します。
- 学齢による教育費の変化は、大学を除く(生活費を含むため)公立学校の場合、各段階を概ね数10%程度で上昇し、中学・高校間で10%台の上昇に抑制されるという傾向となっています。しかし、私立学校の場合は、公立のような規則性が見られません(図2-3)。
- 教育費を、学校関係教育費と学校外活動費(大学の場合生活費)に分類して、国公立と私立の格差をみると、義務教育期間を除き、学校関係教育費の格差は、およそ2〜3倍程度となっています。当然のごとく、義務教育期間は、その差は10倍前後と拡大します(図2-4)。
- 大学を除き、学校関係教育費の公立と私立の格差は、授業料・学校納付金が主要要因となっています。尚、塾等の費用は、期間中の凸凹はあるとして、総額として大きな格差とはなっていません(図2-5)。また、大学の教育費総額(学費と生活費に分類)における、国公立と私立の格差は、およそ2倍前後となる学費の格差が、その主要原因となっています(図2-6)。
- 行政の教育投資減少
- 地方教育費の中の学校関係投資は、特殊学校(盲・聾・擁護学校)を除き、この20年間で1996年代をピークに急増後減少に転換して、ピーク時よりの減少幅は10%台になっています。2006年度の小学校への投資額は、6.3兆円で、以下、中学・高校がその半分程度で、幼稚園は4%程度となっています(図2-14)。
- 小中高の各学校の在学生当たりの投資額は、この20年間で1996年代をピークに急増後微増に転換しています。2006年度の在学生当たり投資額は、各々年間89万円・103万円・116万円となっています。尚、幼稚園の在学生当たり投資額は、ピーク後5%程度減少し年間70万円(2006年度)程度になっています(図2-14)。
- 地域別の教育投資の状況を、2006年度の学校関係投資でみてみると、上位・下位5地区の間でおよそ1.5倍程度の教育投資格差が発生、上位5地区は、小中高の各段階で下位5地区に比べ、手厚い教育投資を継続しています(図2-18)。行政の教育投資にも、地域格差が現れてきています。
- 地方教育費の中の生涯教育費関係投資(公民館・図書館・博物館・体育施設等)は、この20年間で1996年代をピークに急増後減少に転換しました。ピーク時よりの減少幅は、体育施設等の4割減から図書館等の1割減まで様々です。国民一人当たりの投資額の推移も同様の傾向となっています。2006年度の生涯教育関係投資額は、主要経費項目でみれば体育施設5千億円を筆頭に、図書館・公民館の3千億円台、博物館2千億円等々の配分になっています(図2-15)。
- 2006年度の地方教育費の支出項目をみると、実に人件費が64%と突出、内教員給与が40%を構成しています。また、この20年で、人件費の構成比は4%増加、逆に、土地・建築費勘定の構成比は6%減少して、構成比としては8%に低減しています(図2-16)。財政再建と学生数減少の影響が、建設需要を抑制する状況となっています。
- 地方教育費の財源と配分の状況
- 2006年度の地方教育費は、総額約17兆円で、構成比は都道府県財源が約53%、市町村財源が約32%、国庫補助約11%、地方債等約4%で構成されています。この20年間の推移は、1996年代にピークを打ち、以降、市町村財源(1割強減)・国庫補助(4割強減)が減少、都道府県財源は微増の中、全体としてピーク後1割強の減少となっています(図2-16)。
- また、2006年度の財源負担から各種学校の責任分担・所管をみてみると、地方教育の高等教育・特別支援学校への対応は都道府県、各種学校・幼稚園は、市町村が主体的に対応(負担比率60%以上)しているようです。小・中の義務教育は、都道府県(約5割)を中心に、市町村(約3割)・国(約2割)が支援する構造になっています。また、国庫補助は、義務教育と特別支援学校・中等教育学校に、2割以下の範囲で負担する構造になっています(図2-17)。
- 学校を取巻く環境の変容
- 学生数減少の中、この20数年の間、在学生に占める私学構成比は増加基調(全生徒・学生数で18%→26%)を維持しています。義務教育の両端の幼稚園・大学でその構成比は、70%を超えて、高等学校においても30%を占有しています。財政削減(ご参考:主要歳出の増減推移)に伴う地方教育費の低下とともに、教育における私学の役割が着実に拡大してきています(図2-2)。
- 私立大学は、この20数年で、学生数を1.6倍に、そして学校数を1.8倍と大きく拡大してきています。国公立を含む大学全体では、その数値は、各々1.5倍と1.7倍になりますので、大学拡大の受け皿としての、私立大学の重要性が増してきています(図1-8)。
- この20数年の進学率の推移は、高校進学率はほぼ100%弱の高位定着、高校卒業生の大学進学率はおよそ40%増の75%、大学院等の進学率は倍増して12%となっています。大学入学希望者の9割以上が入学する「大学全入」時代に入り、教育における高学歴化は着実に進展しています(図2-7)。
- 学校の教員数の変化は、全体としては減少傾向の中、幼稚園と大学の教員数は増加するという2極化の傾向を示しています。この20数年で、幼稚園・大学を除く学校の教員は、生徒減に伴い1割程度減少しています。大学の教員数は、学生数の増加比率と同程度の比率で増加(1.5倍)し、幼稚園の教員数は、園児2割減にもかかわらず1割程度増加しました(図2-19)。
- 地方教育費(公立の幼稚園から高校)の中の教員給与は、教員数は減少していますが、この20年間でおよそ3割強も増加(5.3兆円→6.7兆円)しました。そして、2006年度の総支出に占める構成比も、期中の2%増加で40%となりました(図2-16)。
学校 |
授業料
・学校
納付金 |
通学費
・制服・
通学用品費 |
学校
給食費 |
補助
学習費 |
学校外
活動費 |
価格 |
構成比 |
価格 |
構成比 |
価格 |
構成比 |
価格 |
構成比 |
価格 |
構成比 |
公立幼稚園 |
8.1 |
32 |
2 |
8 |
1.4 |
6 |
3.7 |
15 |
6.7 |
27
|
私立幼稚園 |
29.2 |
54 |
4 |
7 |
2.5 |
5 |
4.8 |
9 |
9.6 |
18 |
公立小学校 |
0.1 |
0 |
1.6 |
5 |
4.1 |
12 |
10.2 |
31 |
13.4 |
40
|
私立小学校 |
57.1 |
42 |
8.5 |
6 |
3.1 |
2 |
29.3 |
21 |
27 |
20 |
公立中学校 |
0.7 |
1 |
3.7 |
8 |
3.7 |
8 |
23.6 |
50 |
6.6 |
14 |
私立中学校 |
63.5 |
50 |
13.6 |
11 |
0.7 |
1 |
19.4 |
15 |
11.1 |
9 |
公立
全日制高校 |
13.9 |
27 |
7.5 |
14 |
0 |
0 |
13.7 |
26 |
4 |
8 |
私立
全日制高校 |
51.4 |
49 |
10.6 |
10 |
0 |
0 |
21 |
20 |
5 |
5 |
注1、2006年度地方教育費調査より。単位:万円/年、% |
○年齢格差
男性勤労者の賃金構造は、賃金が上昇すると勤労者数が減少するピラミッド型の構成となっています。2008年のデータでは、男性勤労者のおよそ6割は、月間の賃金が30万円台以下となっています。そして以下、40万円台が勤労者の2割、50万円台が1割、70万円台が5%となっています。
年齢と賃金の関係は、ある一定の賃金に達するまでは、年齢の増加と共に平均賃金も増加しますが、それを過ぎると、逆に急激に減少します。2008年の平均賃金でみれば、20歳代前半の平均賃金対比で、賃金のピークとなる50歳代前半でおよそ2倍、60歳代後半で1倍程度となっています。このように、賃金の年齢特性は、ピークを過ぎると、退職に向けて、平均賃金を就業開始時賃金に回帰させるように働きます。
また、賃金の年齢特性のもう一つの特徴は、同一年齢帯での賃金の分布格差を、年齢の増加と共に拡大させるように働きます。2008年の年齢別賃金分布でみると、20歳代と60歳代の勤労者分布のピークは賃金帯20万円台に現われ、30歳代は30万円台に、そして、40歳代と50歳代は40万円台に出現しています。年齢が進むと勤労者が各賃金帯へ広く分散してゆき、ピークの高さも低く押さえられ、賃金格差が拡大する様子がわかります。
そして、年齢増加と賃金格差拡大の状況は、賃金の中央値と平均値の乖離が、年齢の増加と共に拡大していくことでもわかります。20歳代前半でおよそ1倍のものが、60歳代後半で1.2倍程度に拡大しています。また、賃金上位10%目の勤労者の賃金と賃金下位10%目の勤労者の賃金の格差は、20歳代前半で1.6倍、賃金のピークとなる50歳代前半と就業退出時期の60歳代後半で、およそ3倍となっています。このように、勤労者の賃金は、年齢の増加とともにその格差が拡大していきます。
○学歴格差
学歴が賃金に与える影響は、高学歴になるほど平均賃金が上昇するように作用します。2008年の男性勤労者の平均賃金で比較すると、学歴による賃金格差は、およそ1.5倍程度の範囲内に納まっています。「中学卒」の勤労者に対して、「大学院卒・大卒」の勤労者の平均賃金は1.5倍、「高校卒」の勤労者は1.1倍となっています。同様に、女性勤労者では、それぞれ1.6倍、1.2倍となっています。また、大企業の男性勤労者で比較すると、その比は各々1.4倍、1.0倍となっています。男性勤労者に比べて、女性勤労者はやや高めに、大企業の男性勤労者は、やや低めの数値となっています。
また、学歴が賃金上昇に与える影響は、高学歴になるほど、その上昇率をより高めるように作用します。男性勤労者の学歴による賃金上昇の比較を、最大賃金となる50歳代前半で比較すると、各々の上昇率間の相対比は、およそ1.5倍程度の範囲内に納まっています。20歳代前半からの賃金上昇は、「大学院卒・大卒」の勤労者の場合、賃金上昇率は2.4倍、「高校卒」の場合、賃金上昇率は1.9倍、「中学卒」の場合、賃金上昇率は1.6倍となっています。尚、賃金上昇率は、男性勤労者に比べて、女性勤労者は低めに、大企業の男性勤労者は、高めの数値となっています。
そして、学歴が退職時賃金に与える影響は、高学歴になるほど、賃金の年齢効果による退職時賃金の下落を抑制して、退職時賃金をより上昇させるよう作用します。大企業男性勤労者の60歳代後半の平均賃金(2008年)で比較すると、「中学卒」勤労者の平均賃金に対して、「大学院卒・大卒」勤労者は2.6倍、「高校卒」勤労者は1.4倍となっています。60歳代後半の「中学卒」勤労者の平均賃金は、20歳代前半の平均賃金にほぼ等しいために、高学歴が、高年齢時の急激な賃金下落を抑制する効果が良くわかります。
○企業規模格差
企業規模が賃金に与える影響は、企業規模が大きくなるほど平均賃金が上昇するように働きます。2008年の男性勤労者の平均賃金で比較すると、企業規模による賃金格差は、およそ1.3倍程度の範囲内に納まっています。「小企業」の勤労者に対して、「大企業」の勤労者の平均賃金は1.3倍、「中企業」の勤労者は1.1倍となっています。同様に、女性勤労者では、それぞれ1.2倍、1.1倍となっています。また、「大学院卒・大卒」の男性勤労者で比較すると、その比は各々1.3倍、1.1倍となっています。
また、企業規模が賃金上昇に与える影響は、企業規模が大きくなるほど、その上昇率をより高めるように作用します。男性勤労者の企業規模による賃金上昇の比較を、最大賃金となる50歳代前半で比較すると、各々の上昇率間の相対比は、およそ1.7倍程度の範囲内に納まっています。20歳代前半からの賃金上昇は、「大企業」の勤労者の場合、賃金上昇率は2.4倍、「中企業」の場合、賃金上昇率は2.1倍、「小企業」の場合、賃金上昇率は1.7倍となっています。同様に、女性勤労者では、それぞれ1.4倍、1.2倍、1.2倍となっています。また、「大学院卒・大卒」勤労者の同様の賃金上昇率は、それぞれ2.2倍、1.9倍、1.7倍となっています。賃金上昇率は、男性勤労者に比べて、女性勤労者はかなり低めに、「大学院卒・大卒」の男性勤労者は、やや低めの数値となっています。
そして、企業規模が退職時賃金に与える影響は、企業規模が大きくなるほど、退職時賃金を上昇させるように作用しますが、その効果は、さほど大きなものとはなっていません。「大学院卒・大卒」男性勤労者の60歳代後半の平均賃金(2008年)で比較すると、「小企業」勤労者の平均賃金に対して、「大企業」勤労者は1.2倍、「中企業」勤労者は1.3倍となっています。
○雇用形態格差
雇用形態が賃金に与える影響は、正社員と非正社員の間で、男性勤労社員の平均賃金(2008年)で1.5倍、20歳代前半から50歳代前半までの賃金上昇率で、正社員2.1倍(大企業2.4倍〜小企業1.7倍)、非正社員1.4倍と大きな格差を発生させています。また、60歳代後半の平均賃金の格差も、正社員と非正社員の間で1.5倍となっています。女性勤労社員の場合は、同様に、平均賃金で1.4倍、以降、賃金上昇率で、正社員1.4倍(大企業1.7倍〜小企業1.3倍)、非正社員1.0倍となっています。男性勤労者に比べ、女性勤労者の雇用形態格差は、緩和される傾向が出ています。
非正社員という雇用形態の特徴は、男女勤労者共に、企業規模による平均賃金の格差が少なく(1割程度)、20歳代前半から50歳代前半に至る賃金上昇も少なく(男性:1.4倍、女性:ほぼ1倍)、企業規模によるその差も少ない(男性:1.3倍〜1.5倍、女性:ほぼ1倍)ことです。どこに勤めても、その待遇に変化がないという現状が見えてきます。また、女性非正社員の平均賃金は、男性非正社員より更に少なく(0.7倍)、薄給にあえぐ姿が浮かんできます。
- 所得の年齢格差
- 男性勤労者の年齢別賃金分布は、賃金変動に対して、ある賃金でピークを持つ分布となります。その分布のピークは、年齢帯が20歳代と60歳代の勤労者では、月額賃金20万円台に現れます。そして、30歳代は30万円台に、40歳代・50歳代は40万円台に分布のピークが現れています(図3-2)。
- その分布の特徴は、勤労者の年齢帯によって、最低賃金と最大賃金の間の幅(賃金帯幅=賃金格差)が異なることです。勤労者の年齢帯が20歳代では、賃金帯幅は30万円程度と小さく(賃金格差が少ない)、先鋭化した分布曲線になります。しかし、30歳代以降、年齢と共に賃金帯幅は拡大して、分布の山は低くなり、なだらかな曲線分布となり、賃金格差が広がっていきます(図3-2)。
- 勤労者は、20万円台の賃金で就業を開始して、競争条理の中で賃金格差が拡大、就業終了時には、賃金帯幅でその格差は70万円程度に広がり、かなりの人が、就業開始時の賃金20万円台で、就業環境より退出する構図となっています(図3-2)。
- 男性勤労者全体の平均的な賃金構造は、賃金帯20万円台と30万円台の勤労者が、勤労者全体のおよそ60%を占め(各々30%程度)、賃金ピラミッドの底辺を構成します。そして、賃金40万円台20%、50万円台10%強、70万円台5%程度と、ピラミッドの上部を構成していく構造となっています(図3-3)。
- 賃金の年齢に対する分布は、低賃金(20万円台以下)では、年齢変化に対して谷型の分布(若年と老年で構成比が大きい分布)を取り、それ以上の賃金では一転して山型の分布(分布のピークは賃金の上昇と共に高年齢側にシフト)となります。そして、高賃金になるほど山が低くなり、フラットな分布になっていきます(図3-3)。
- 年齢による賃金格差
- 男性勤労者の賃金格差の現れ方として、年齢帯別賃金の中央値と平均値が、年齢と共に乖離していく現象があります。平均値が常に中央値の上にあり、年齢と共に同一年齢帯における賃金格差が拡大して、賃金上位者の賃金上昇がより高いことがわかります(図3-4)。
- そして、その賃金格差を上位10%目の人の賃金(第9分位賃金)と下位10%目の人の賃金(第1分位賃金)で比較すると、20歳代前半でその幅10万円程度のものが、賃金ピークの50歳代前半で45万円程度と4.5倍に拡大しています。そして、就業環境より退出する60歳代後半でも、賃金格差はおよそ30万円・3倍程度と、なおその同一年齢帯における賃金格差は維持されています(図3-4)。
- また、加齢に伴う賃金変動を平均賃金の推移からみると、20歳代前半と賃金ピークの50歳代前半では、約2倍(43万円程度)の賃金格差があり、就業環境より退出する60歳代後半とは約1.2倍(26万円程度)と賃金格差は減少しています(図3-4)。
- 次に「大学・大学院卒」の男性勤労者を対象に、同様の分析をしてみます。第9分位賃金と第1分位賃金の格差は、20歳代前半で10万円程度のものが、賃金ピークの50歳代前半で50万円程度と5倍に拡大、就業環境より退出する60歳代後半で約65万円の6.5倍と大きな格差となっています。また、中央値の賃金の変化も、同様の年齢帯比較で、50歳代前半で約2.3倍(50万円程度)、60歳代後半で約1.5倍(33万円程度)とやや高くなっています(図3-5)。
- そして、「高校卒」の男性勤労者を対象に同様の格差をみると、約30万円強で3倍強、約25万円で2.5倍と格差は縮小し、同様の年齢帯比較で、中央値賃金も、約1.5倍(36万円程度)、約1.1倍(20万円程度)と同じく縮小します。このことは、男性勤労者の学歴の高さが格差を増長させて、特に高年齢時の格差を顕著に拡大させることがわかります(図3-5)。
- 初任給の推移
- この18年間の平均賃金は、前半は増勢に推移(男性およそ18%増、女性約28%増)し、2000年代に入り男性は微減、女性は微増となりました。雇用形態の多様化・景気停滞の中、平均賃金は伸び悩み、また、女性の平均賃金が改善傾向にあるといえど、2008年の男女間の平均賃金格差は約1.5倍と、なお高い水準にあります(図3-6)。
- この18年間の初任給は、平均賃金と同様、各学歴・男女とも増勢基調で推移して、2000年代初めの伸び悩みを経て増勢傾向に転じています。初任給の直近3年間の比較(2008年)で、平均賃金が低迷する中、各学歴・男女間でおよそ2〜3%程度の上昇となっています(図3-6)。
- この18年間の平均賃金に対する初任給の割合(初任給/平均賃金)の推移は、男女間でその傾向に差異がみられます。時系列でみると、男性は平均賃金の伸び悩みを受けて、初任給の割合は各学歴とも微増傾向となりました。一方、女性(修士卒除く)の初任給の割合は、平均賃金と初任給の増加程度の差で、減少傾向を示しました。特に大卒女性のこの間の減少幅は大きく、およそ7%にも達しています(図3-7)。
- 平均賃金に対する初任給の割合(初任給/平均賃金)は、男性は各学歴とも構成比60%以下、女性は概略70%以上に分布しています。2008年の大卒男女の初任給の額には大差が無い(20.1万円と19.5万円)ため、格差の主因は平均賃金の格差、すなわち、就業構造と就業後の賃金上昇に関する男女間の格差が原因とみられます。また、初任給の割合は、男女とも高学歴になるほど、その割合は高くなります(図3-7)。
- 所得の学歴格差
- 勤労者の学歴格差(図3-8)
- 男性勤労者の学歴による所得格差をみるため、学歴別の平均賃金、69歳までの賃金累計と賃金上昇率(ピークとなる50歳代前半/20歳代前半の賃金)の3つの数値で比較してみます。学歴格差を「大学院卒・大卒」勤労者に対する中学卒勤労者で比較すると、平均賃金及び累計賃金収入で約7割弱という格差が現れます。また、20歳代前半賃金からの賃金上昇格率は、2.4対1.6と1.5倍も異なります。
- 女性勤労者の場合も同様な比較の中で、男性勤労者より数値的にはやや穏かになりますが、平均賃金と累計賃金収入で、それぞれ6割強という格差が発生しています。また、20歳代前半賃金の賃金上昇格率は、1.7対1.2と1.4倍程度異なります。
- 「大学院卒及び大卒」勤労者の層の中で、男女間の格差をみると、平均賃金で7割弱、累計賃金収入で8割強の差があります。また、20歳代前半賃金の賃金上昇率は、2.4対1.7と1.4倍程度異なります。同一学歴の中にあっても、学歴格差と似たような格差が、男女間に性別格差として存在しています。
- 男性大企業勤労者の学歴格差(図3-9)
- 大企業勤労者の男性の層で、学歴格差をみてみると、「大学院卒・大卒」勤労者と中学卒勤労者の間には、平均賃金で約1.4倍の格差がみられます。
- 就業環境への入口、最大賃金、出口の観点で、それぞれ年齢を当てはめ(20歳代前半、50歳代前半、60歳代後半)、同様にその平均賃金の学歴による格差をみてみると、1.3倍、1.6倍、2.6倍となります。平均賃金の学歴格差は、就業年齢が進むほど拡大する傾向が出ています。
- 同上の条件で、両勤労者の賃金分布を比較すると、20歳代前半と50歳代前半の賃金上昇率は、「大学院卒・大卒」勤労者で2.7倍、中学卒勤労者で2.2倍、20歳代前半と60歳代後半の賃金上昇率は、「大学院卒・大卒」勤労者で2倍、中学卒勤労者で1倍とその差異が顕著になります。平均賃金の学歴格差は、学歴が低くなるほど最大賃金を減少させ、20歳代前半と60歳代後半の賃金格差が縮小する方向に作用します。
- 学歴別初任給の分布(図3-10)
- 男性勤労者の学歴による初任給の分布は、高学歴になるほどその分布のピークは、より高い初任給側にシフトしていきます。院卒のピークは初任給23万円台(構成比約59%)、大卒は21万円台(構成比約54%)、高専・短大卒・高卒は17万円台(構成比約49%)となっています。初任給にも学歴による格差が発生します。
- 高校卒の初任給の分布幅は、他の高学歴卒勤労者と比べてやや狭く、初任給の賃金格差が少ないことが上げられます。そして、高学歴になるほど初任給の上限金額が高位にシフトします。高卒以上は、高卒より初任給帯の分布幅が広く、高学歴になるほど初任給帯の上限金額が高位にシフトします。高校卒は上限が20万円未満、高専・短大卒は24万円未満、大卒以上は24万円以上までに達しています。
- 所得の企業規模格差
- 企業規模別格差(男女各勤労者、2008年)(図3-11)
- 勤労者の企業規模による所得格差をみるため、企業規模別の平均賃金、69歳までの賃金累計と賃金上昇率(ピークとなる50歳代前半/20歳代前半の賃金)の3つの数値で比較してみます。男女とも企業規模が大きくなれば、平均賃金・累計賃金収入とも上昇することがわかります。
- 平均賃金と累計賃金収入は、男性では、小企業と大企業間の格差はそれぞれ約1.3倍、女性はやや少なく約1.2倍となっています。また、賃金上昇率も、小企業と大企業間では、男性で約1.4倍、女性で約1.2倍と企業規模による格差が存在しています。
- 大企業の層でみた男女間格差は、平均賃金・賃金累計収入の格差は、それぞれ約1.5倍、賃金上昇率では約1.7倍となっています。また、小企業の層でみた男女間格差は、それぞれ約1.4倍、賃金上昇率では約1.4倍となっています。
- 企業規模別格差(「大卒・院卒」勤労者、2008年)(図3-9)
- 「大卒及び院卒」勤労者の男性という層で、企業規模別の格差をみると、小企業と大企業間で、平均賃金で約1.3倍(年齢帯別ピーク時で約1.4倍)の格差がみられ、賃金上昇率では、およそ1.8倍(価格幅の差、約20万円弱)と格差が広がります。このため、企業規模が大きくなるほど、その組織内での年齢別平均賃金の格差も拡大します。
- また、就業入口年齢(20歳代前半)時の平均賃金では、企業規模による格差はそれほど大きくは現れず、就業退出年齢(60歳代後半)時の平均賃金では、逆に、中・小企業ほどピーク時平均賃金に近づく傾向を示します。このことは、「大卒及び院卒」勤労者という学歴の高さが、企業規模が小さくなるほど有効に作用(格差を縮小・平均賃金を上昇)している結果ではないかと思われます。
- 所得の雇用形態格差
- 雇用形態による格差(図3-12)
- 雇用形態による格差は、男性勤労者の正社員と非正社員の間では、平均賃金でおよそ1.5倍、女性勤労者の場合は、約1.4倍となっています。学歴格差(「大学院卒・大卒」勤労者に対する「中学卒」勤労者相当)に匹敵する大きな格差となっています。
- 企業規模で雇用形態による平均賃金格差をみてみると、男性勤労者の正社員と非正社員の間では、大企業で約1.7倍、中企業で約1.5倍、小企業で約1.4倍となっています。企業規模により若干の格差が現れています。
- 同様に女性勤労者による雇用形態格差をみてみると、大企業で約1.6倍、中企業で約1.5倍、小企業で約1.4倍となっています。男性同様、企業規模による若干の格差が現れます。
☆☆ ひと休み ☆☆
<秘湯満喫 (岩手 国見温泉)>
年代 |
関 連 記 事 |
2009 |
<教育投資関連>
- 母親になる環境、日本34位に後退 民間の援助団体が発表(05):上位は1位スウェーデン、2位がノルウェー、3位オーストラリア、4位アイスランド
- 「ミニ保育所(分園)」設立支援、厚労省方針 待機児童削減へ(04): 待機児童数は2008年10月時点で前年同月比9%増の4万人強になった。特に都市部では深刻とされる
- 保育支援基金、2倍に拡充 追加経済対策(04): 保育所整備などに使う1000億円の「安心こども基金」について、2000億円規模に拡充
- 学生・児童生徒等の修学等の支援に向けた主な施策について(03): 文部科学省では、子どもたちの教育を受ける機会が損なわれることのないよう、幼稚園に通う幼児を持つ保護者の負担軽減、就学援助の実施、奨学金事業の実施、授業料減免の実施等・・
- 保育所家賃補助し新設促進 需要急増で厚労省方針(03): 都市部を中心に賃貸物件での保育所の新設を促す狙いで、4月からの実施を目指す
- 内定取り消し大幅増 大学1155人、高校314人 3月1日時点(03): まだ就職活動を続けているのは大学で357人、高校では78人。大学では11%が留年する予定
- 大学の実績で公費に「差」…教育再生懇、3次報告案で提言(02): 小中学校への携帯電話持ち込みの原則禁止、大学改革、教育委員会改革を柱に。大学改革では、公費に差をつけ質の向上を。教育長や教員人事担当者への民間人登用などを。授業料などの私費が大学財政に占める割合が、日本は66・3%と経済協力開発機構の加盟国平均(26・9%)より高いと指摘
- 派遣切り、教室がらがら 長野のブラジル人学校(02): 不況が、出稼ぎ日系ブラジル人の子どもの教育を直撃、昨夏に約90人いた子どもは、2月は30人に。昨秋、授業料を3割程度引き下げたが・・
- 公的教育投資 国際競争に堪えうる大学に(02): 高等教育分野は、資源の乏しい日本が国際競争を勝ち抜くために特に重要。OECDが昨年発表したGDPに対する公的教育支出の割合(2005年)をみると、日本は過去最低の3・4%で、比較可能な28か国で最下位だった。
- 国公立大の教育・研究費、主要大と地方では3・7倍の格差(02): 国からの交付金が一律に削られるなかで、国や企業に提案して得る競争的資金が、主要な大学に集中しているのが原因
<教育行政等>
- 学童保育でけが、3割増 入所者増え過密化が原因か(03): 07年度分で1万2832件で前年比3割増
- 「やればやるほど英語嫌い」 小学校英語活動に異論続々(02): 小学校の英語活動は、11年春から5、6年生で必修に
- 就職活動に新ルール要請へ、内定早期化に歯止め・・文科省(02)
- 市立の全491校で小中一貫教育 横浜市、12年度から(01): 東京都品川区も06年度に全国に先駆け、現在計54校で実施中。広島県呉市などでもすでに導入しており、東京都八王子市や宇都宮市、京都市などでも導入に向け、準備を進めている
- 高大接続テスト 大学生の学力低下をどう防ぐ(01): 推薦入試やAO(アドミッション・オフィス)入試による大学入学者は、全体の4割を超す約26万人、うち約23万人は学力検査を経ていない現状が
|
2008 |
<教育投資関連>
- 「ハッピースマイル」閉鎖、補助金の回収困難に・・中野区など(12): 経営状態の把握できず・・。認可保育所は2000年から、自治体や社会福祉法人だけでなく、企業も運営できるよう民営化が進んでいる。今年4月現在、私立の認可保育所は1万1581か所で、公立の1万1328か所を上回っている。
- 中小企業社員向け、ベビーシッター補助増額…最大40万円に(12): 子育て支援策強化のため、年間の限度額を労働者1人あたり10万円引き上げ、年度内の実施を目指す
- 奨学金、3か月滞納すると“ブラックリスト”入り(12): 「日本学生支援機構」は、今後、債務情報を管理する個人信用情報機関に登録すると発表。昨年度末現在の奨学金滞納額は660億円。将来的に回収不能の恐れのある債権は2253億円に上る
- 短時間勤務制義務づけ 育休法見直しで厚労省報告案(12): 子育てと仕事の両立のため明記。短時間勤務の基準を1日6時間とする考えも。次期通常国会への改正法案提出を目指す
- 「保育ママ」法制度化、改正児童福祉法が成立(11): 自宅で乳幼児を預かる「保育ママ」制度、児童養護施設での虐待対策強化なども
- 保育所数、民間が公立を上回る 市町村、委託・譲渡でコスト減(11): 2000年に比べて約700カ所増え今年4月時点(概数)で約2万2900カ所。民間の運営する保育所がこの間、2100カ所増えた半面、公立は05年以降、毎年200カ所以上減少
- 無保険の子ども きめ細かな対応が必要だ(11): 中学生以下の子どもがいる家庭が全国に1万8200世帯あり、無保険の子どもの数は3万2900人に上る。全国で385万世帯が滞納しており、これは加入世帯の2割に近い。厚労省は、柔軟に対応、短期保険証を出すよう通知
- 育休法改正、残業免除を義務付け 厚労省が検討(11): 3歳未満の子どもがいる従業員向けに改正案の提出を目指す。働く女性の約7割が第1子出産を機に仕事をやめている現状が。子育て世代の要望が高い残業免除や短時間勤務を導入している事業主は現状2〜3割程度に
- 延滞増える奨学金 生ぬるい回収策 「日本学生支援機構」に高まる批判(09): 延滞債権額は2000億円を突破。背景には、長期延滞者への強制執行を見送るなど、機構の回収の甘さが
- 教員給与マイナス要求 文科省方針、特別手当75億円分(08): 教員給与の優遇(人材確保法)を例外とせず、給与全体の2.76%を削減(06年に政府内合意)。07年度予算で削減の先送り、08年度は部活動手当の引き上げなどで「相殺」したが、09年度は確実に下がることに
- 教材費、国が半額補助…脱ゆとり新指導要領で(08): 市町村の負担を軽減することで、新指導要領を円滑に実施するのが狙い。小学校は11年度、中学は12年度の全面実施
- 私大定員割れ 合併・再編も視野に入れよ(08): 今年度、全国の私大の47%、266校が定員割れに。私大は学部ごとの定員割れの割合に応じて私学補助金を減額され、定員の50%以下ならゼロになる。定員を満たせないと、経営は一層苦しくなる
- 「教育振興基本計画」を閣議決定、道徳教育推進を明記(08): 「教育立国」を目指し、今後5年間の施策で約80項目を列挙。小中学校施設約1万棟の耐震化支援、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の全国2000か所以上を明記
- 地方教育費、10年連続で減少 自治体財政難で支出抑制(07): 前年度比1.9%減の総額16兆6648億円に。公立小中高校や幼稚園の教員の給与や学校整備などに充てられる「学校教育費」は13兆8254億円で0.9%減
- 旧育英会奨学金、10億円未回収 税金投入の恐れも(07): 延滞金の回収を巡っては04年、奨学生からの保証料で運営される「日本国際教育支援協会」の代位弁済の仕組みができた。しかし、08年2月までに797件、計10億2100万円分について支援協会に弁済を請求できないことが判明
- 定員割れの私大、過去最多の47% 事業団調べ(07): 昨年度から7.4ポイント増。18歳人口の減少に加え、大規模大への志願者の集中など人気が「二極化」。私大の経営環境も急速に悪化
- こども園:認定施設いまだ229カ所 「手続き煩雑」の声(05): 国は06年、幼児教育と保育を一体的に行う認定こども園の制度をスタートさせた。保育園とは違い、親が就労していなくても0歳から入園できるのが特徴。4月現在、認定数は07年同期比135カ所増の229カ所にとどまった
- AO入試 青田買いの手段ではならぬ(05): AOは、アドミッション・オフィス(入試事務局)の略。専門スタッフが、志願者の提出した自己推薦書などを審査したうえ、面接などで能力や適性、意欲を見極め、合否を決定。 2007年度入試で国公私立の454大学1047学部が実施し、約4万人が入学、全入学者の7%を占める。狙い通り優秀な学生を集められる大学と、経営維持のため学生確保の手段とする大学に、二極化。少子化なのに大学は増え続け、定員割れの私大は4割もある。AO入試が、安易な学生獲得の“隠れ蓑”に
- 低所得世帯に塾費用を無利子融資 東京都が格差対策(04): 年収約200万円以下の低所得世帯を対象。都市部で塾通いが日常的になるなか、親の経済力で子どもの教育に格差が生まれるのを防ぐことが狙いだ。
- 育児:パパの家事時間で第2子出生5倍の差(04): 子供がいる夫婦の生活で、夫が家事や育児に協力する時間や妻の勤務先の育児休業制度の有無(1.6倍)が、第2子をもうけるかどうかの選択に大きく影響と厚生労働省が公表
- 女性の雇用拡大など盛り込む 「新成長戦略」決定(04): 中小企業向けにIT(情報技術)経営の研修事業を倍増▽保育園の待機児童を減らして女性の雇用を拡大などの成長政策を正式に決めた
- 「待機児童ゼロ作戦」厚労省発表 財源・保育水準が課題(02): 具体的には(1)保育所などの受け入れ児童数を現在の200万人から100万人増やす(2)小学1〜3年生を対象にした学童保育も68万人から145万人増やすとしている
- 幼稚園・保育所を一体化 諮問会議成長戦略原案(02): 人口減社会でも成長を続けるため、女性と若者、高齢者の労働参加を重視。保育所と幼稚園を一体化して子育てサービスのすそ野を拡大
- 大学生への仕送り額、20年ぶりに月8万円割る(02): 全国大学生活協同組合連合会(東京)が昨年10月、36大学の学生を対象に調査。1か月の収入は13万4260円で、前年比2680円の増加。仕送りの減額分を、奨学金(前年比1240円増)、アルバイト(同3360円増)で補っている
- 定員割れの私大、補助金を最大50%削減へ・・文科省(02): 今年度から私立の大学、短大、高等専門学校への補助金制度を大幅に見直す。定員割れの学部・学科がある大学などへの補助金削減率を現在の最大15%から毎年徐々に拡大し、2011年度には最大50%にまで引き上げる。今後、私大・短大の淘汰が一層加速
<教育行政等>
- 学力調査公開「従来通り」 文科省が来年度実施要領(12): 過去2回と同様、序列化や過度な競争を招かぬよう、市町村名や学校名がわかる形で成績を開示せず
- 品川区の学校選択制、保護者の6割が支持(12): 大都市部で初の公立小中学校の選択制を導入した東京都品川区教育委員会、保護者アンケートで、6割が選択制の継続を希望。一方、小中一貫教育の評価は2分
- 「モンスターペアレント」に対策 都教委が全国初の専門部署設置(11): 学校に理不尽な要求を繰り返す保護者や地域住民に対応。19年度だけで都内小学校の約9%、中学校の約9%、都立高校の15%で解決困難なケースを確認
- 学力テスト「公表」は市区町村教委の4割・・文科省調査(11): 学校名の分かる形での公表は、1787教委と97%が反対。文科省は、過度な競争を招くことを理由に、公表しないよう求めている
- 学校統廃合、1割止まり 市町村教育委「住民の合意難航」(07): 子供の数が減った学校を他校と合流させ、一定の学校規模を維持、学校経営の効率化が目的
- 教員情報、電子化1千万件 合言葉は「社保庁になるな」(07): 来年度から始まる教員免許更新制の運営のため
- 全国の公立小中学校施設、1万棟超が震度6強で倒壊の危険(07): これも含め4万7949棟が耐震性が不十分で、全国平均の耐震化率は62・3%だった
- 新入社員の「質」、5年前より低下・・企業の4割が回答(03): 質が低下した理由(複数回答)では、「コミュニケーション能力・協調性の不足」が最も多く、「向上心・積極性の不足」「忍耐力の不足」の順。その原因として、小中学校時代の教育に問題があるという指摘が目立った
- 高校生の57%、宮崎県の場所わからず・・地理学会調査(03): 大学生も約33%が間違えていた
- 40年ぶり総授業増 道徳教科化見送り 指導要領改訂案(02): 「ゆとり教育」が批判を浴び、国際的な学力調査でも日本の成績低下が問題となる中、改訂案は学力向上の姿勢を明確化
- 国立大への寄付規制が緩和、無償貸与可能に 喜ぶ自治体(01): 地方自治体が国立大を誘致する際の「壁」が大幅緩和
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2007 |
<教育投資関連>
- 学力格差と子供の貧困(12): 国際学習到達度調査(PISA)の結果公表、日本の15歳児は03年から06年にかけて全分野で順位を落とした。PISA調査によれば、家庭の学習環境(経済状況含む)と生徒の得点の間には強い相関がみられるという。日本では90年代後半以降、失業や倒産などが増加した。こうした親の事情によって潜在的な能力を発揮しにくい環境に置かれた生徒の増加があるのではないか
- 公立中学生の塾費用、過去最高の年24万円(12): 公立中では7割を超える生徒が塾に通い、親の収入が多いほど塾などの費用が多い実態も明らかに。文科省は「家庭の経済状況によって学習機会にも差が生じ始めている」と分析している。公立中に通う生徒の場合、年収1200万円以上の家庭と年収400万円未満の家庭ではおよそ2・8倍の格差が
- 私立で高校まで・・1678万円 公立の3倍 文科省調査(12): 文科省は「就学援助など所得の低い人向けに支援をしているが、今後さらに充実させたい」。幼稚園を除き私立に通わせている保護者には所得の高い層が多く、年収1200万円以上が、小学生44%、中学生31%、高校生22%に達した
- 外国人生徒の日本語教育、財政面などで支援へ…文科省(11): 自治体が日本語、外国語双方に堪能な非常勤職員を雇用することを財政面などで支援し、授業の通訳や日本語の指導教室の拡充を実現。背景には1990年の出入国管理法改正で日系人の単純労働が可能になったことも
- 「基本戦略分科会」が最終報告書 政府の少子化会議(11): 短時間勤務を含めた育児休業の弾力的な運用や放課後対策の推進などを求めた。「保育ママ」制度や「一時預かりサービス」担い手増等
- 「家族の日」は子育て考えて 07年版少子化白書(10): 今年から11月の第3日曜日を「家族の日」に。白書では、少子化を社会全体の課題と位置づけ、育児休業や短時間勤務などの取り組みを強化するよう促している
- GDP比の教育支出は下から5番目 OECD加盟国調査(09): 日本の公的支出はギリシャに次いで下から2番目、私的負担を加えると下から5番目だった。各国の教育費は95年からの10年で平均42%増、日本は11%程度に
- 保育所の待機児童 なお1万8千人 減少は4年連続(09): 受け入れ児童数は約1万2000人増の約201万5400人。政府目標は、09年度までに215万人
- 「大学全入時代」来なかった 今春入学者9割にとどまる(08): 大学卒業が就職の条件となっているなどのため進学率が上昇したが、定員は抑制傾向にあり「全入」は来年度以降も難しそう
- 私大定員割れ 淘汰も不可避の「二極化」進展(08): 少子化の時代、大学の数が多すぎる現状が。適切な破綻処理策も必要に。今年度、定員割れの4年制私大は221校で全体の4割に。
- 保育料の滞納、90億円 厚労省が初の全国調査(08): 滞納した保護者が約8万6000人(構成比3.7%)
- 地方教育費:9年連続減少し16兆9916億円に(06): 前年度比1.6%減で9年連続減。学校教育費(教職員給与など)13兆9500億円(同1.2%減)
- 子育て終えたら「働きたい」女性9割超す、現実は半分(04): 既婚女性に調査。子供が「3歳以下」で、働くことを希望する人は42・2%だった。子供が「4歳から小学校入学」では、働く希望が72・3%に急増し、「小学生」では90・6%、「中学生以上」では95・1%に達した。これに対し、実際に働いている女性は、子供が「4、5歳」で37・4%、「6〜11歳」で44・1%、「子どもが12歳以上」で54・7%にとどまった。仕事の内容も、子供が4歳以上の女性ではパート・アルバイトが最も多く、正社員は1けた台だった
- 働く女性、3年連続増 既婚者減少、家庭との両立難しく(04): 女性の労働力率を10年前と比べると、未婚者は96年の60.4%から63.7%に増えたのに対し、既婚者は51.0%から48.5%に低下
- 親の苦労、浮き彫り・・「仕送り」過去最低10万円 学費借入額は最高(03): 東京私大教連の家計負担調査。保護者の27.7%が入学費用を借り入れ、借入額は174万円で、割合、額とも過去最高で、収入減の中で子供の学費確保に苦労する親の姿が浮き彫りになった
- 2006年の学校法人の倒産、2001年以降で最高に(02): 少子化の進行により生徒数は減少し、大学全入時代を迎えて予想される経営悪化(乱立した業者間の過当競争、設備投資による過剰債務体質)も深刻。2001年から2006年までの学校法人の倒産は18件、負債総額は1352億6900万円、「設備投資の失敗」6件(同33.3%)が最多。予備校・学習塾の倒産は76件、負債総額は183億5500万円、「販売不振」が52件(同68.4%)で最多
- 給食費未納、4万人分20億円超 初の全国調査(01): 経済的に余裕がありながら給食費を払わない保護者が多い実態が。法的措置を検討する自治体はさらに拡大しそうだ
<教育行政等>
- 「6・3・3・4制」弾力化を提言・教育再生会議、3次報告を決定(12): 人事や予算に関する校長の裁量拡大、生徒数に応じた学校予算配分の「教育バウチャー」の実験実施や優秀な生徒の「飛び級」も
- 大卒研究職社員の資質「期待上回る」は1% 文科省調査(10): 「期待を下回る」は学士で約31%など、企業側は、基礎教育の不十分さや、独創性の不足に頭を痛めている
- 「大学9月入学」後押し 時期、学長が自由に(09): 学校教育法施行規則を改正(大学に限って「4月から3月まで」の原則を廃止)し、12月下旬の施行をめざす。99年規制改正後の運用で、現在2割の大学が導入するも、生徒数としては1%以下に(2005年)
- 指導力不足教員450人 40〜50代が8割以上(09): 指導力不足の認定後、半年から1年の研修を受けて現場復帰した教員は101人、依願退職は104人、分限免職は4人だった。昨年度1年間の試用期間後に正式採用されなかったのは過去最多の295人(前年209人)
- 博士課程の年限弾力化へ 文科省が設置基準改正(09): 各大学院が、教育内容に応じた効果的なカリキュラムを組めるようにするのが狙い
- 高校で中国語・韓国語授業が急伸、10年で3倍に(07): その数は800校を超え、生徒も約3万人に。大学入試センター試験の外国語の受験科目も、英語を除く今年の受験者数は中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語の順
- 81年以前の小中校建物、5.4%が「震度6強で倒壊の恐れ」(06): 災害時の避難場所にもなる学校の安全性の確保が不十分。同省は「優先的に耐震化に取り組むよう」、教育委員会に通知
- 教育3法案:野党抗議の中、参院委で可決 20日成立へ(06): 学校教育法(「副校長」「主幹教諭」などを新設)、地方教育行政法(教育委員会への是正指示)、教員免許法(10年ごとの更新制)の各改正案
- 株式会社立小学校、来春に・特区制度を活用(05): 神奈川県相模原市に来春、英語教育を中心とした全国初の株式会社立の小学校が開校する見通しとなった。国などの助成金や税制上の優遇措置が無いため、これまでは通信制高校などに限られていた
- 教育再生会議が第2次報告案、「徳育」の教科化など柱に(05): 授業時間を増やすための土曜授業の実施や、道徳の時間に代わる「徳育」の教科化などが柱
- 教育再生会議が第1次報告、ゆとり教育見直しなど柱に(01): 学力低下の原因と指摘された「ゆとり教育」を見直し、授業時間数を10%増やすことや体罰の基準を緩和することなどが柱
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2006 |
<教育投資関連>
- 少子化対策、12%増の1兆7000億円に 07年度予算案(12): 児童手当や育児休業中の所得保障の拡充など、子育て世帯の経済的支援では前進があったものの、働き方の見直しにつながる施策(出産後の再就職や在宅就労の環境整備など)が弱いとの指摘も
- 少子化社会白書、父親の育児参加の必要性強調(12): 05年は出生数が過去最低。核家族化や都市化、女性の社会進出が進むなかで、父親の育児参加は重要性を増している。夫の1日の育児・家事時間は、48分。また、女性の7割が出産を機に退職。育児休業の取得も女性の72%に対し、男性は0.5%。育児の負担が女性に集中
- 生活保護費、母子加算3年で廃止 厚労省方針(11): 国費ベースで約2兆円の生活保護費を来年度予算で400億円削減へ
- パート待遇「正社員と均衡」明記 厚労省法改正案(11): 賃金の決め方を正社員と合わせることを企業に求め、正社員への転換制度の導入や支援策も義務づける。05年のパート労働者は1266万人で、雇用者の4人に1人にあたり、非正規社員の7割を占めている。一方で、時給は、正社員を100とした場合、女性が69.0、男性が52.5にとどまる。
- 夢追う男性フリーター 17.8%・・女性の倍(07): フリーターになった理由のトップは男女ともに「自分に合う仕事を見つけるため」で男性29.8%、女性21.6%に。2番目では男性は「正社員として就職できなかったため」(20.9%)女性は「自分の病気やケガ」(18.1%)と続く。「夢を実現するため」と回答したフリーターは男性で3番目だった。
- 18年版労働経済白書 20代所得格差が拡大 成果主義で30−40代正社員も(04): 非正規労働者で配偶者のいる割合が低く、少子化が進む要因に。非正規では年齢が上がっても賃金は上昇せず、特に二十代では非正規が増加し格差拡大が継続。非正規労働者は十七年で労働人口の約32%を占め、約千五百九十万人に。教育費の支出は、全体では減っているが、高所得層では増加
<教育行政等>
- 教育基本法の公布・施行(12): 昭和22年に制定された教育基本法の全部を改正。教育の目的に「公共の精神」や「伝統と文化の尊重」など追加、基本的な理念に、生涯学習社会の実現と教育の機会均等を規定、教育行政に国と地方公共団体の役割分担、教育振興基本計画の策定等について規定
- 教委設置義務の撤廃見送り、規制改革会議が最終答申案(12): 「いじめ問題」の深刻化で教育委員会の機能強化を求める世論が背景に。また、教育分野で、〈1〉生徒や保護者による教員評価や学校評価の法令での義務化〈2〉教員免許更新制度(不適格教員の排除含む)〈3〉認可保育所への入所を保護者の選択制とし、国の補助金を保護者に直接支給する方式の導入等を盛り込んだ
- 教育バウチャー(利用券):導入見送りの提言提出 日本教育再生機構(12): 学校選択制の導入と奨学金制度の充実で対応可能と説明。「ゆとり教育」との決別宣言、歴史・伝統文化教育の充実、教員の政治活動の禁止などを盛り込んだ
- 講義はネット上のみ 「サイバー大学」来春開校へ(11): 日本初の4年制の通信制大学(本拠・福岡市)、「IT総合」と「世界遺産」の2学部で
- 必修漏れ、文科省が4年前把握 委託の研究会から報告(11): 94年度から必修科目の世界史を履修しなかったと答えたのは、全体の16%にあたる約5400人。履修漏れは99〜02年に熊本、長崎、広島、兵庫で発覚
- 教員免許更新制、08年度にも導入 中教審答申(07): 教員に対する信頼の低下を指摘。いまは終身有効の免許に10年の期限を設け、満了前に行う30時間の講習で評価を実施
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2005 |
<教育投資関連>
- 来春の大卒内定率好調65.8% 2007年問題で(11): 前年同期に比べて4.5ポイント増。景気回復に加え、団塊世代の大量退職が始まる2007年問題を前に企業の採用意欲が向上、就職氷河期は底を脱し、改善の動きが
- 05年厚労白書、女性の正規社員高い地域は出生率も高く(07): 出生率が比較的高い地域は正規職員が多い半面、労働時間が短いため、仕事と子育ての両立がしやすいと分析。男性の通勤時間が短かく、延長保育時間が長い地域は出生率が高い傾向なども指摘
- 労働力人口、10年後410万人減も 厚労省研究会推計(07): 少子化が進み、出産後の女性の職場復帰が難しい現状がこのまま続いて、国が新たな対策をとらない場合に。04年の労働力人口6642万人
<教育行政等>
- 「ミニ保育所(分園)」設立支援、厚労省方針 待機児童削減へ(04): 待機児童数は2008年10月時点で前年同月比9%増の4万人強になった。特に都市部では深刻とされる
- 9年制小中一貫校・・文科省が検討(10): 今後、中教審で具体的な制度づくりなどを議論。9年制小中一貫校の創設は、保護者の30・6%が賛成、18・9%が反対、39・5%がどちらとも言えないという結果に
- 専門学校のeラーニング、自宅で授業OKに(10): 現在は、総授業数の2分の1までとされているeラーニングの授業時間数の制限を緩和、自宅でも履修可能に。2005年度中に関係省令を改正し、来年度から実施。昨年5月現在、全国には2964校の専門学校があり、約70万人の生徒が在籍
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2004 |
<教育投資関連>
- 少子化対策、政府の新新エンゼルプランの全文判明(12): 新エンゼルプラン(2000―2004年度)が保育支援中心だったのに対し、企業や地域の取り組み重視へと転換し、それぞれの課題について数値目標を掲げたのが特徴(2005年度からの5ヵ年計画)だ。育児休業制度の普及(2002年現在61%→100%)、延長保育の推進1万6200か所、保育所の受け入れ児童数215万人等
- ニートな若者52万人(前年比4万人増) 深刻さ増す 労働経済白書(09): 若年無業者:15−34歳の非就労の無進学、未婚の人
- 改正法の施行で変わる派遣労働市場(05): 三月一日、改正された労働者派遣法が施行された。働き方が一段と多様化 医療関連、製造業務も可能に
- 衝撃的だった家計の赤字転落、敗戦直後以来の非常事態(03): 可処分所得の平均16%前後という高い貯蓄率水準が98年頃から下落、今や家計は生活のために貯蓄の取崩しを。実際、貯蓄ゼロ家計は2割に
- 2003年版 労働経済白書から、必然的な流れか継続する非社員就業(01): この10年間で、正社員は1割弱減、パートやアルバイト、派遣契約など正社員以外の労働者は5割強も増加。少子高齢化、デフレの進行、企業間競争の激化など経済社会の変化で必然的な流れに
<教育行政等>
- 義務教育改革案 6・3制変更可能 市町村で独自編成(08): 教員免許の更新制も導入。三位一体改革で、廃止・削減が検討されている義務教育費国庫負担制度は維持
- 経産省など、ネット活用したIT・語学の教育拠点、産業人材カレッジを全国2000カ所に開校(06): 産業競争力を支える人材を育成、政府が3年間で100億円を支援。失業者などには助成金を支給し、受講者百万人をめざす
- 文科省、ネット大学の設置基準緩和へ〜2005年4月から(04): 敷地を持たずにインターネットを利用して通信教育だけを行う大学や大学院の設置基準を、構造改革特区に限って大幅に緩和する方針を決めた
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2003 |
<教育投資関連>
- 内閣府2003年度版国民生活白書から(11): 日本経済にとって最大の課題は抜本的なデフレの克服。また、デフレ経済は失業者の増大を招き、雇用問題にも大きな影響が。なかでもフリーターの急速な増加は今後の日本経済にとって大きな問題になりつつあると警告
- 保育所の「第三者評価」開始、質を高めるメリットも(03): この春から本格的にスタートしたが評価申込はまだわずか。保育内容の質の向上と、利用者への情報提供が目的
<教育行政等>
- 構造改革特区 教育、農業に株式会社参入 政府、まず57件認定(04): 小中高一貫で外国語教育を実施する群馬県太田市や、遊休農地を使って企業が農業に取り組む香川県内海町の例など、焦点となっていた株式会社による教育、農業分野への参入も認可
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2002 |
<教育投資関連>
- 子供にかかる費用とは(12): ある生命保険会社の試算によると、子供1人を大学まで卒業させようとすると、3000万−4000万円かかる。うち教育費としては、私立幼稚園、小中学校を公立、高校と大学(文系)を私立というコースで約1570万円
- 女性の職場進出で保育需要増大(12): 保育所(保育園、託児所)へ入所を希望する児童(待機児童)数は、都市圏を中心として全国で2万人を超えている。一方、保育所の収容能力は2001年10月時点で全国平均では満員状態に
- 社会全体で子育て支援を(09): 急激な少子化に歯止めをかけるため、「少子化対策プラスワン」を決定。男性の育児休業取得率は10%(年間約十万人)を目標(現状0.55%)、子供の看護休暇制度(普及率11.2%)と学齢までの勤務時間短縮(同9.2%)は普及率25%を目指す。保育所の一時預かりサービス等地域の子育て支援も充実
- 職業訓練給付補助率5割に 厚労省検討。上限額も引き下げ講座見直し効率化(07): 本人の自己負担を高め、効率向上と給付の削減を狙う。早ければ平成十五年度から見直す方針。十三年度は約二十八万五千人が利用した。
- 学びの拠点に 学校図書館、充実の動き(06): 一カ月に本を一冊も読まない子供は高校で67%、中学校で43.7%、小学校で10.5%にも達した。蔵書の図書基準数を満たしていない学校は小学校で69%、中学校で78%。 同省は今年から5年間で計650億円を学校図書整備費に
<教育行政等>
- 構造改革特区 「農業」に企業参入OK 病院、学校経営は見送り(10): 特区での特例措置が認められたのは(1)通関業務の二十四時間化(2)小中高一貫教育など多様な教育カリキュラムの導入(3)幼稚園と保育所の一体的運用(4)国立大学教員の兼業規制緩和−など九十三項目
- 大学是正4段階に拡充、中教審最終答申(08): 質確保へ第三者評価、「専門職大学院」の創設などを盛り込んだ。問題大学に対して(1)改善勧告(2)変更命令(3)学部などの大学内組織の認可取り消し措置(4)大学の閉鎖命令と四段階の是正措置にも道を開く
- 総務省、全国8地域で広帯域教育コンテンツの流通実験(07): 現場教員が授業に活用できるコンテンツの質・量を充実させる狙いだ
- 英語を使える大人に 文科省の戦略構想 年間1万人を留学へ(07): 「大学を出れば英語で仕事ができる程度」と目標を設定。指定校を現在の十八校から三年間で百校に増やす方針
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☆☆ ひと休み ☆☆
<トレビの泉 (伊 ローマ)>
◆語句説明・出典
○語句説明
- 企業規模の区分
- 常用労働者1000人以上の企業を大企業、100〜999人の企業を中企業、10〜99人の企業を小企業と区分。
- 出産率・出生率
- 出生数は、1年間に生まれた新生児の数をいいます。出生率は、普通、人口1000人当たりの出生数を指します。
- 出産数は、出生数と死産数の合計をいいます。出産率は、普通、人口1000人当たりの出産数を指します。
- 3世代世帯
- 世帯構成による分類を、単独世帯、核家族世帯(夫婦のみ、夫婦と未婚の子のみ、片親と未婚の子のみ)、3世代世帯、その他の世帯と分けています。
- 3世代世帯は、祖父母、父母、世帯主、子ども及び孫の直系世代のうち、3つ以上の世代が同居している世帯をいいます。
- 教育費の内訳
- 大学生の場合:学費+生活費。学費は、授業料、その他の学校納付金、修学費、課外活動費、通学費等で構成されます。生活費は、食費、住居費、光熱費、保健衛生費、娯楽・嗜好費、その他の日常費で構成されます。
- 高校生以下の場合:学校教育費+学校給食費+学校外活動費。学校教育費は、授業料、修学旅行・遠足・見学費、学級・児童会・生徒会費、PTA会費、その他学校納付金、寄付金、教科書費・教科書以外の図書費、学用品・実験実習材料費、教科外活動費、通学費、制服費、通学用品費等で構成されます。学校外活動費は、家庭内学習費、家庭教師費、学習塾費等の補助学習費と、体験活動・地域活動費、芸術文化活動費、スポーツ・レクリェーション活動費、教養費等のその他学校外活動費で構成されます。
- 地方教育費
- 支出分類別:学校教育費+社会教育費+教育行政費。学校教育費は、幼稚園から高等専門学校までの学校、特別支援学校(盲・聾・擁護学校)、各種学校への教育費で構成されます。社会教育費は、公民館、図書館、博物館、体育施設、青少年教育施設、女性教育施設、文化会館、その他社会教育施設等への支出、教育委員会が実施した社会教育活動費、文化財保護費等で構成されます。
- 支出費目別:消費的支出+資本的支出(土地購入費、建設費等)+債務償還費。消費的支出は、教員給与・職員給与等の人件費、教育活動費、管理費、補助活動費、所定支払金等で構成されます。
- 財源分類別:国庫補助+都道府県支出+市町村支出+地方債+寄付金等。
- 雇用形態
- 労働者は、雇用形態により各種分類されますが、一般的には、正社員(雇用期間を定めず)、契約社員(雇用期間を定める)、アルバイト・パート(臨時雇用の前提)、派遣労働者等に分類されます。
- 非正社員は、上記の正社員以外の労働者をさします。
- 若年者の離職率
- 入社3年以内の離職率は、1990年代後半以降横ばいで推移しており、卒業3年後の離職率の「7・5・3現象(中学・高校・大学の順)」には、現在もなお大きな変化はありません。
- 2003年就職者の3年以内の離職率は、高卒49.2%、大卒35.7%(2007年版労働経済白書)
○出典
- 総務省統計局:
日本の統計2009 青少年白書(内閣府)
- 文部科学省:
学校基本調査 地方教育費調査 子どもの学習費調査 学生生活調査
データからみる日本の教育
- 厚生労働省:
厚生労働統計(人口・世帯 賃金 社会福祉)
政策レポート「地域の子育て支援」(2009/08)
国民生活基礎調査の概況(H20年調査)
児童のいる世帯の親(母)の雇用形態、末子児童の年齢(H20年調査)
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